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神装機伝アハトレーダー
官能リレー小説 - SF

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神装機伝アハトレーダー 4

味木は汚い手段を使って洗脳から逃れた。しかし動くにはまだ早い。
味木は洗脳されたふりをしてゼイルに近寄った。
様子を探るためだ。危険な賭けではあったが、味木は勝てると確信していた。そうでなければこんな勝負に出たりしない。
味木が洗脳を逃れた手段は至極簡単、身の危険を感じてゼイルの元に影武者を寄越したのだ。
AAAの末端企業で不始末を起こし、表向きは失踪者扱いとなっている男だ。
そして味木は洗脳の事実を知るなり、その影武者を監禁した上で洗脳対策のデータを入手する事に成功していた。
データ入手は事実上の生体実験だっただけに、完全焼却済み医療産廃と化した彼は非常に無口な存在となっていた。

更に味木はゼイルから技術提供を受け、量産人型兵器の開発・製造を一任されている。
元・影武者が頓挫していた作業用強化外骨格をベースとして生産ラインに乗せていた。
ゼイルに見せた先行量産機は敢えてダウングレード仕様、それでも現存の地球兵器には十分対応出来る。
奇妙な状況だった。
地球陣営は数は多いが機体性能で劣る。
味木陣営は性能は優れているが数が足りない。
ゼイル陣営は味木陣営の次に性能が良い機体を持っているが、戦略もなにも無く味木の裏切りに気づきもしていない。
もう既にこう着状態の基礎が出来上がってしまっていた。
味木はタイミングを見て高性能機をレジスタンスに提供し一斉蜂起を促す計画を立てていた。
前述の通り、今一つ上手いこといってないのだが、味木は自分の勝利を確信していた。

「最終的に私は地球を救うヒーローになる訳だが、まるで実感が沸かないな。」

確かに大まかなシナリオとしては、彼が幼い頃に憧れた悪の組織から離反したヒーローに、近いと言えなくもない。
この味木という男もまた、卯月とは違う意味での人格破綻者であった。

「ついでだから卯っちゃんも、気が向いたら助けてやるか。」

卯月と味木は性根が壊れた者同士だからか、年の離れた友人の様な付き合いにあった。

「ゼストを始末したら卯っちゃん怒るだろうけど、そうしたらそうしたでどっちかが死ぬまで戦争ごっこでもするか、世界規模の奴。」

味木の考えるシナリオはドラマチックで悪くは無い。
しかし、重大な事が欠落している。敵を裏切った奴をレジスタンス側があっさりと受け入れるのかということだ。
彼の頭の中では救世主扱いでたたえられるという事になっているが、量産機を譲渡した時点で消されるのがオチだろう。
味木は本気で自分が、疲弊した世界で認められると思っている。
レジスタンス側を上手く説得する自信があるからなのか?
壊れているから自分があっさり消される未来が想像出来ないからなのか?
それは本人ですらわかっていない。

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