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神装機伝アハトレーダー
官能リレー小説 - SF

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神装機伝アハトレーダー 11

ひとまず話がまとまったので、流星はアインに報告に行く。
アインは作業機から降りてきて、ああ良かったと流星と一緒になって喜ぶ。
その様子を性癖のアレな人が見ていたら、じゃれあう狼と犬にも見えた事だろう。
一通りじゃれてからアインは運搬作業に戻る。
「調整」のおかげでスムーズな動きが出来るようになったので積み込み作業は予想以上に早く終わった。
ロボットの元が取れた、どころではない。
日当一万二千五百円に設定してしまったのが申し訳ないと社長と流星が思ってしまったほどだ。しかしごねにごねて決めてしまった事なのでまた話題に上る事は無かった。

時間が開いたので、流星とアインで作業機のイメージチェンジを考える事になった。
一応洗浄はしたがまだどこか全体的にくすんでいる。ありあわせの部品をつなぎ合わせているので色の組み合わせも格好悪い。
特に右手の作業用アームのけばけばしい緑が最悪だ。悪目立ちをしている…。
流星が口を開いた。
「駄目な装甲を取りかえる前に、まずは配色パターンを決めておこうか」
「そうだな…、弥生が好きなあの紫のレザーを来た狼男をモチーフに入れてみてはどうだろうか?」
流星の頭の中に、その狼男が全裸に剥かれ(エロ)な光景が広がった。
弥生が読んでる本に描かれていた衝撃的な内容だった。
自分で言ってみてから流星の表情を察するアイン、彼とて地球の一部女子が考える男色への気持ち悪い思想は薄々理解していた。

「確かに弥生の趣味を丸々と反映するのはちょっとな…だが僕の故郷で狼や犬は縁起物なんだ。」

アインの故郷で犬科の動物には『噛み殺す=神殺す』という語呂合わせが暗喩されていた。
そしてそれは執行官の使命にも共通し、彼の同郷から多くの公的関係者を生み出した。

命ある者の規律に反する者、命を尊ばぬ者があれば神でさえも殺せ、命ある者の痛みを教えてやれと。

「なるほど、全体のカラーリングはアハトちゃん本人に相談するとして、狼のエンブレムとかいいかもな。」

そう言って流星は携帯を取り出し誰かに電話をかけるなり、一言二言の問答すると『すぐ来いって言っとけ』と吐き捨てて切った。

通信内容からして弥生ではない、流星の知人のまた知人といった所、アインはそう理解していた。


ー十数分後ー

弥生と同じ制服を着た女子高生二人、日焼けや体つきからして何かのスポーツをしていると、アインは見立てた。

「いータイミングだぜ!どーせお前ら部活以外は学校サボッてんべ?」
「あははは。」
「どもども。」

ひどく怯えているのは何故だろう、流星は当然気付いていないが、教室にホモの落書をしたテニス部女子である。

「お前ら絵上手らしいじゃん、手伝って欲しい訳だ。」

流星は落書に気付いてない筈、しかし誰かから知らされてすごく怒ってるのではないか、女子テニス部二名はますます顔色が悪くなるも断るに断れない。
実の所、アインはそうした事情をテレパシー能力で理解していたが、あえて触れない。

それよりもアインは流星という不良少年に並々ならぬ素養を感じた。

まず次元跳躍してきた異世界人と不自然なく接し、居候させてくれている(…弥生も同様だが多少の他意がある)。
そして当然、地球の基準では単なる身元不明の未成年に仕事を紹介、貧乏企業が故の値切りも最低限に抑えた。
更に公共の場へ嫌がらせの落書をする程に流星を嫌っていた同級生の女子までも、あっさり協力者にしてしまった。

本来なら議会を通した正規の次元跳躍で、前もって偽装した身分と現地協力者を用意して、漸く不自由のない潜伏生活が可能とされる。
対してこうしたアインの気楽な立場はあり得ない例だった。

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