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神装機伝アハトレーダー
官能リレー小説 - SF

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神装機伝アハトレーダー 12

その頃、地球サイドの兵器製造工場では新型戦闘機オリハールの量産が開始されていた。
性能もコストも優れ、機体上部にラピットビームガンを一対装備したその機体はオリハルコンエンジンというものを搭載していた。
球体に棘を生やしたような形状のオレンジ色に輝くそれは未知の技術の塊だった。
機体名もそこから来ている。
それは味木サイドの戦闘機に使用される技術だった。
誰かが地球サイドに技術を持ち出したというのは明白だった。
味木の完璧なプランは早くも粗が出ていた。
第一に表向きはゼイルへの忠誠を誓っただけにそちら側の生産を優先せねばならない。
味木にしてみれば無駄としか思えない人型の量産兵器、確かに彼もロマンは解るがやはり無駄。

「常識的に考えてスーパー系よりリアル系だろうがよ…。」

ゼイルが想像しているのは既存の地球兵器が機械の神々に蹂躙される姿なのだろう。
ゼイル側のサウスランドと呼ばれるタイプを始めとした量産機、装機歩兵は人型の制御や燃費の関係からビーム兵器が使えない。
(高級量産機やカスタムによる例外あり)

何より神装機や装機騎兵に劣る装機歩兵
、特にサウス系は重量バランスの関係で大型火器は基本的に股間へ装着される。
股間に30mmバルカンや105mm対戦車砲を装備した間抜けな姿は味木を多いにガッカリさせた。

それが反面教師になったわけではないが、味木サイドに配備された人型機体は完成されていた。
一般的にイメージされる格好いいデザインと武器配置。非合理的であるにも関わらずそれでいて性能はゼイル側を越えている。
だが、その外見は見るものに不安感を与えるものだった。
一見テレビゲームの主人公の機体のような外見なのだが、よく見ると頭部は左右非対称で表情も威圧的なものを感じる。なんというか嘲笑っているような雰囲気があるのだ。
光学機器(カメラ)やレーダー・センサー類の配置から、仕方なくそうした『顔』になってしまったのだ。
そして手持ち武器とオプション武装も可能とした関係から体格も左右非対称。
更に純然な人型と比べ微妙に関節位置のバランスまでもずらしてある。
流石に足まわりの関節は左右揃えてあるが、やはり形状は非対称である。
その姿は二足歩行の未確認生物、いやどことなし想像上の魔獣や悪魔を彷彿とさせる。

そうした要素の数々が量産機としては格好良く高性能な機体を、化け物じみた恐怖を煽る存在にしてしまっていた。
ゼイル派と味木派の戦いは『悪者同士の仲間割れ』にしか見えないだろう、まぁ事実仲間割れなのだが。

味木の精神状態がデザインに現れているのだろうか?
ぱっと見はまともに見えるのだが、どこかがおかしい。正義に見えてグロテスク。
味木の内面は黒い。
レジスタンスに機体や技術を提供し、正義のヒーローとして受け入れられた後は管理国家を作り上げようとすら思っている。
犯罪も反乱も起こらない、完全に監視され圧倒的武力によって支配された平和な国家…。

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