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幼魔鬼譚〜悪戯好きのアリス〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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幼魔鬼譚〜悪戯好きのアリス〜 81

「んっ? お前、狂骨様と一緒にいた坊主じゃねぇか」
 警備員室に入ってきた紅夜叉に、警備員が話しかける。
 どうやらロビーの監視カメラで、紅夜叉達と炬俐のやり取りを見ていたらしい。
 妖気が感じられるため、どうやらこの警備員も妖怪のようだ。
「いやぁ〜、トイレ行ったら道に迷っちゃって」
 そう言いながら、紅夜叉は警備員に近づく。
「ところで、何でスイッチ消したんだ? オレにも見せてくれよ」
 興味津々といった感じで、消えたモニターのスイッチに手を伸ばすが、もうちょっとのところで、警備員に腕を掴まれた。
「勝手に触るなっ。
 それに地下室なんか見てる面白くねぇだろうが」
「ちぇ〜っ」
 仕方なく、紅夜叉は渋々手を引っ込める。
(地下室か……調べた方がよさそうだな。
 でも、どうやったら行けるんだ?)
 そう思い、何か他に情報はないかと、スイッチの入っているモニターを見てみると………
「……げっ! このホテル、客室の中にまでカメラが有るのか?!」
 
 プレートに「203号室」と書かれたモニターの中に紅夜叉が見たものは、裸でベッドの上で絡み合う男女―――擬螺と娼婦の一人―――の姿だった。
「こらこら、ガキが見るんじゃない」
「んだよっ、いいじゃねーか」
 視界を遮ろうとする警備員の手を払い退け、尚もモニターを見ていた紅夜叉はおかしなことに気がついた。
 男が仰向けになった女に乱暴に腰を打ち付けているのだが、女の方はそれに対する反応がまったく無い。
 目は虚ろで、体には打撲や火傷の跡があちこちに付いていた。
 そのことを指摘すると、警備員はニヤつきながら「そういうプレイが好きなんだよ」と答えを返してきた。
 
(何かおかしい………もしかして、あの女の人が八侘達の仲間?)
 ブーン…ブーン…
 そんなことを考えていると、紅夜叉の携帯電話が震えだし、メールの着信を報せてきた。
「んっ?……あっと!、友達からだ」
 メールは蛮悟からで、『今何処だ、すぐ戻って来い』という短いものだった。
 チラッと警備員の方を見ると、警備員も机の上の電話で誰かに電話をかけていた。
「はい…そうです炬俐様、今ここに…………」
 どうやら炬俐に、紅夜叉が警備員室にいると報告しているらしい。
 その隙に紅夜叉は、素早くメールを打つ。

『オーナー炬俐
 203号室に行け
 地下室怪しい
 監視カメラは任せろ』

 ………かなり説明不足な文章を、蛮悟の携帯に送信する。
(後はこの警備員をどうするかだな)
 警備員の方も話が終わったらしく、受話器を戻し、ハァッとため息を吐いていた。
「……しばらく炬俐様は、狂骨様と話をするらしい。
 その間、お前は此処で大人しくしてろとさ」

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