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おてんば姫、ファニーの冒険
官能リレー小説 - ファンタジー系

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おてんば姫、ファニーの冒険 73

ファニーの怒りのオーラを見て、危険と判断したのか、ジュラーブリクとラーストチュカの獣人兄妹が立ち上がった。
「と、とりあえず情報を集めましょう。相手は名うての盗賊団、先も無しに行くのはあまりにも無謀」
「そうです、それじゃ早速行って来ます」
そう言ってそそくさと去っていった。
「あーれー、そんなに急がなくてもいいのに」
そう言って二人を、というかラーストチュカを名残惜しそうに見送るライズ。
後に残されたのはため息つくアンナとティーエ、そして怒りに震えるファニーだった。

「ライズ、あんたね、もう少し真面目にできないの」
「エッ俺は何時だって真面目だよ。姫さんこそカリカリしすぎじゃないかな」
「あ、そうだ。この前のメメール山のご褒美、まだいただいて無かったよな、今すぐちょーだい」
そう言って口を尖らしてキスの体勢へともってゆく。
「冗談じゃないわよ」
もちろん怒り出すファニー。
こうしていつもの大喧嘩を始めるライズだった。

喧嘩(というよりもファニーが一方的に怒鳴り続ける)が終ったころ、ティーエが二人一組で行動する提案を出した。
「四人や六人で一ヶ所から侵入するのは得策ではありません。
見つかりやすいですし、姫を探すのも手間です。
なので、私とアンナ、姫様とライズで組になりましょう。」
「異議あり!」
ファニーはピンと手を伸ばした。
「なんでライズとなの!? アンナが良い!」
その方が気が楽だ、真面目なライズも、ふざけたライズも、どちらも二人きりにはなりたくない…特に真面目な方。
「…戦力バランスを考えると、姫様には魔法も剣も使えるライズが一緒に居た方が安全なのです…」
「じゃ私とティーエはダメ?」
「却下します。姫様が私の前を守るというのがどうにも不安なので…」
『アンタの都合かよ!!』
ティーエのあまりにも自己中な発言に皆一斉にツッコミを入れた。「とにかくこれは決定事項ですので」
と言って、ティーエは強引に編成の話題を終わらせた。
「我々は如何致しましょう?」
「ジュラーブリクには盗賊の気を引いて頂きます。単独で塔に突撃し、目的も無くとにかく暴れ回ってください。その隙にこちらが侵入します」
ジュラーブリクは頷く。かなり危険な役目だが、彼にはそれを成し遂げる自信があるのか、その目に迷いは無い。
「ラーストチュカには2チームの繋ぎを。塔中を駆け回り、両チームの情報のホットラインとなるのが任務です。貴女なら出来ますね?」
最後の部分は質問ではなく確認だった。
ラーストチュカは素直に頷く。常に真面目な表情の中で瞳だけが「誰にそう聞いてるんだ?」と言いたげな、凶暴な光を放っていた。
ファニーは今更ながら気付いた。この兄妹は本物の戦士の目をしている、と。
(獣人族は生まれながらにして戦士て言われているけど、実際見てみるとほんとそうね)
獣人兄妹の手によって集められた情報を元に、ティーエが作戦を立ててゆく。
灯台の入り口は二つ、一つは海に面した正門、もう一つは裏山に面した裏門だ。
まず最初に、正門からティーエが作ったマッドゴーレム(泥人形)で襲撃をかける。
マッドゴーレムは動きが鈍いから簡単に撃退されるだろうが、敵の注意をひきつけることはできる。
それに時間がくれば爆発する仕掛けもつけるので、多少は敵の戦力そぐことも期待できる。
次にジュラーブリクが警戒が薄れた裏口を襲撃する。
敵はジュラ―ブリクこそが本命だと考え、今度は裏口へと戦力を集中させる。
そして今度は正面からファニーたちが攻め込むのだ。

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