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幼魔鬼譚〜悪戯好きのアリス〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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幼魔鬼譚〜悪戯好きのアリス〜 70


その頃、アリスは。


中等部や高等部の朝練組が道具などをかたしているころ、プリントされた地図を見ながら初等部に向かっていた。本当は知っているが、ワザと間違った日本文化を演出していた。
初等部は寮から高・中等部を挟んでさらに先にあった。
よいやく門に続く壁の橋にたどり着くと名門学園だけあって、校門の中に高級車が何台も出入りしていた。
その他にも駅から徒歩で通う少女達もいる。
そんななかにアリスは玲美を見つけた。
玲美は鞄を両手で下げながらトボトボと俯いて歩いていた。
昨日からしーちゃんこと大狼が帰ってこなかったからである。
その様子はペットロストそのものであった。
普通の動物と違って意志の疎通ができていただけに尚更だった。
(あの娘、まだ新しいあの狼の気配がする。まだ戻ってない?)
音沙汰不通の狼の気配プンプンの玲美を訝しげに伺うが、考えるより行動と思い玲美に近づいた。
「ねえ、この学校はここでいいのかしら?」
神猿との出来事は記憶を操作しているので初対面のふりをする。
「えっ?」
 呼び止められ、玲美はアリスの方を振り向く。
「いきなり呼び止めてゴメンね。私は………」
「!?あっ、この前森で会った」
「………」
 無言で珠美を、人目の付かない路地裏に引っ張って行くアリス。
「えっ、ちょっと…」
 訳も分からず分からず困惑する珠美を、人目の付かない奥まで連れて行くと……
 
「フンッ!」
 ゴツンッ!
「ミギャァッ!!!」
 
「ちゃんと記憶消したはずなんだけど………」
 気絶して倒れている珠美を見下ろしながら呟くアリス。
 改めて記憶を操作しなおし、ついでにもう一度珠美の記憶を覗き見て、アリスは今までの大体の経緯を知ることが出来た。
「それにしても、『しーちゃん』なんて名前付けられたぐらいで、ホイホイこの子の言い成りになるなんて………」
 そこであることに気が付く。
「そういえば私、あいつにちゃんとした名前付けずに、今まで『バカ犬』とか『駄犬』とか呼んでたわね。それでかな?」
 まぁ、あの馬鹿犬のことは後で考えるとして……と改めて珠美を見下ろす。

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