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幼魔鬼譚〜悪戯好きのアリス〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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幼魔鬼譚〜悪戯好きのアリス〜 71

「とりあえず、今のところはこの子起こして学校に行かないと」
 しゃがみ込み、楽しそうな顔で珠美を見つめるアリス。
「この子は‘ビショップ(司教)’がいいかな?」
 
 
 
 

―――その頃・新生茨木軍に潜入した白面は―――
 
「うっ…んんっ……」
 暗く、コンクリートの壁に囲まれた部屋で白面は目を覚ました。
「ここは……えっ?…キャァッ?!」
 意識がはっきりしてくると、自分が何も着ていない、全裸の状態だということに気づく。
 そして部屋の中には、他にも同じように全裸で床に横たわっている数人の女性の姿があった。
「ちょっ、ちょっと大丈夫?!」
 女達は体中に傷や痣、火傷の跡などがあり、生きてはいるがかなりぐったりとしている。
「酷い……誰がこんなこと………それに此処は…」
 傷の具合を見ながら、白面は今の状況を整理するため、昨夜のことを思い出していた。
 
―――回想・ホテル『夜鳥』到着後―――
 
 ホテルに入ってすぐ、別の黒服の男達の案内で、猿達は地下室へと連れて行かれた。
 その後このホテルのオーナーと名乗る銀髪の男が現れた。
 最初笑顔で現れたオーナーの顔が、一緒に来たもう一人の女性の顔を見て引きつる。
「よっ、よぉっ、久しぶりだな」
「ほんまにお久しぶりやね。炬俐(こり)様」
 
 女の言った炬俐という名前に、白面は聞き覚えがあった。
 茨木五凶の一人で、正体は鵺(ぬえ)という、頭はサル、胴はタヌキ、手足はトラ、尾はヘビという姿の妖怪である。
(あぁ、それでホテルの名前が『夜鳥』なんだ)
 と、どうでもいいことで感心していると、女が白面に話しかけてきた。
「あんはん、悪いことは言いまへんから帰り」
「えっ?」
 女の突然の言葉に戸惑う炬俐と白面。
「おっ、おい菊名(きくな)」
「ウチの仲間が一月ぐらい前、此処の連中に誘われて仕事に行ったきり帰ってきいへんのや」
 炬俐に菊名と呼ばれた女は、炬俐を睨みつけながら話を続ける。
「あんはんも妖なら炬俐様の名前ぐらいしっとるやろ。茨木五凶の一人で、200年前はそれをいいこと同じ茨木軍の女達に手を出しまくっとった、助平なお方や」
‘様’付けで呼びながらも、その口調には敬意など一欠けらも籠められていなかった。
 
(チッ! まさかこの女を連れてきやがるとは………仕方ない)
 心の中で舌打ちしながらも、あくまで笑顔で二人に話しかける。
「なんだか誤解があるようだが、とりあえず仕事の話は後日………」
「ちよっと、おばさんっ!」

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