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おてんば姫、ファニーの冒険
官能リレー小説 - ファンタジー系

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おてんば姫、ファニーの冒険 67

「それについては未だ確たる証拠は掴んではおらぬ。ただ、前後の状況を考えれば、奴らがさらったのは間違いあるまい」
ステファン公子が魔物達にさらわれたと判断する材料は未だ状況証拠のみ。
だが、それもメメール山脈にある魔物の拠点を強襲すればはっきりしたことがわかるはずだ。
ヘンドリック王も人の親、ステファン公子に父親で、現タフト公王であるルドルフ公の心痛は痛いほどわかる。
ヘンドリック王は必ずや、近いうちに討伐部隊を送ると、タッハー伯に約束した。

会見が済むと、ヘンドリック王は自室に戻っていた。
「ティーエ、ライズを呼んで来てくれんか?」


「お呼びでしょうか? 陛下。」
ライズは騎士の正装を来て、片膝をついている。 旅の時とは全然違うとファニーは思った。
何故ファニーかと言うと、実はライズの前にファニーが部屋に呼ばれていて、部屋の片隅にある用具入れに入るように言われたのだった。
この用具入れ、実は覗き穴付きで、かしこまるライズと、父の姿がしっかり見れるのだった。
「うむ…まぁ、その似合わないしゃべり方はやめい。
わしとお前だけだからな。」
ヘンドリック王の言葉に頷くと、ライズは顔を上げた。
「了解、で何の用ですヘンドリックさん?」
とても王と臣下の会話とは思えない言葉使いだが、ヘンドリック王は別に気にする様子も無く本題に入る。
「のぅ…ファニーと旅したそうだが、どうじゃ?」
「…? どうって、無事茸採って帰ってきましたよ。」
だが、ヘンドリック王はその解答では満足していない。
「違う、ファニーだよ。
お前、どう思う?」
ライズは腕を組み、暫し考え込み、答えた。
「ん〜剣術はまあまあだけど、精神面が不安定かな…良い意味でも悪い意味でも。」

「違〜う!!」
ヘンドリック王は近くに置いてあった写真立てを掴み、ライズに詰め寄る。
「ホレ、見よ。」
それはファニーの写真だった。
「ホレ、この頬、瞳、唇、髪!
お前は何にも思わんのか!?」
写真をライズの顔にくっつけんばかりの勢いだ。
「うっ…まぁ、ある程度は…可愛いんじゃないかな?」
「言い切らんか!」
王はやっと収まったようで椅子に戻った。
「…で、何でファニーの話を?」
王は、手を組みライズをジッと見つめる。
「お前、ファニーは好きか?」
ドキリ… 箱の中で話を聞いているファニーは無意識に、答えるライズを見てしまう。
ライズはどうなのだろう…?
「あぁ…まぁね…」
曖昧に語尾を濁しながらだったが、ライズの口からは好きという言葉が出た。
「…うむ、そうじゃろう!
あんな可愛いファニーに欲情せんかったら、お前を男色か不能のどちらかだからな。」
ライズは少し照れ臭そうに頬をかいている。
(うっ…うっそぉ…)
だが一番照れ臭そうにしていたのはファニーだった。

「良し! 当人同士好き合っているようだから、結婚も近いな。」
「けっ、結婚ん!?
馬鹿言え! ステファンはどうした!?」
ライズも予期せぬ言葉に口調が強くなる。
「…まぁ、一応じゃ。
ステファン公子の安否が解らないからの。 保険。」

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