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おてんば姫、ファニーの冒険
官能リレー小説 - ファンタジー系

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おてんば姫、ファニーの冒険 68

「随分勝手だな…まぁ、昔からか。
だけど、こんなさすらい騎士に大事な姫様あげても良いのかい?」
ヘンドリック王は答えなかった。 だが、次第に体を震わせ始めた。
王は笑っていたのだ、笑いを堪えていたのだ。
「馬鹿を言え、ライズ。
わしを誰だと思っている? いくらわしでも、さすらい騎士の素性を調べないで雇うわけなかろう?
だが、調べる必要もなかったのだかな。」
ヘンドリック王はジッと、ライズの瞳の中の何かを見るかのように見つめていた。
「わしは、ライティス様を知っておる。 お前の事を大層自慢しておられた。
のぅ、ライズ…いや、ライフィスよ。」
ライフィス。
そう言われたライズはただ平然とヘンドリック王を見つめていた。 否定も肯定もしない。
「家柄はステファンはおろか、わしより良い。
そうだろ? 聖騎士の大国、トルシアの第四王子…いや、三人の兄とお父上が亡くなった今までは、トルシアの王だからな…」
うっそぉぉぉ!!!
トルシア、その名前はファニーも知っていた。 一騎当千の聖騎士達が守る強大な国…だった国だ。
「ハハハ! 忘れてないかい? ヘンドリックさん、そんな国は無いよ、あぁ、無い。
もう12年も前にグリンデに滅ぼされたからね。」

ライズは自嘲気味に笑いながら、話を続ける。
「ついでに…ライフィスも死んだ。 生きているのはさすらいの騎士、ライズだぜ。」
王はライズの語る言葉を静かに聞き、やがて口を開く。
「…血は変わらぬよ…お前は父君に瓜二つだ。
第一、滅亡したのはお前の責任では無い…グリンデの勢いは誰にも止められなかった…」
「違う!!」
突然ライズは荒々しく叫んだ。
「国が滅んだのは、俺のせいさ。 …国が滅んだ後にグリンデが来ただけだ…」
口調重く、それだけを言うとライズは部屋を出て行ってしまう。
ヘンドリック王は椅子に深く座りなおし、溜め息をついた。
「…ファニー、出てきなさい。」
用具箱から出て、父と向かい合う。
「…ファニー、お前が選びなさい。
ステファンかライズか、わしはどちらでも構わない。」
「お父様…」
父が選択権をくれた。 ファニーの人生なのに、姫の身分から不自由が生じた。 だから、せめて自分と幸せになる相手ぐらいは選択権を…
「ライズは自室に戻ったようだ… ファニー、行ってこい。」
「えっ!?」
「男がへこんでる時に慰めるのが女の見せどころだぞ♪」
楽しそうに笑う父に押され、部屋を出て歩き始めた。
ライズが亡国の王子だったなんて… それもトルシアの。
だが、ライズが聖騎士であり、とても強いわけがトルシア王家だとしたらツジツマが合う。
(でも、自分のせいで国が滅んだっていってたけど、どういうことかな・・・)
色々と気にかかることはあるが、とにかくライズ似合うことが先決だった。
そこで一つ、重大なことに気づく。
(ライズの部屋ってどこにあるのよ)
父に促されて出てきたのはいいが、ファニーはライズの部屋など知らなかった。
(どうしようか、戻ってお父様に聞こうかしら、それよりも通りがかりの人に聞いた方が早いかな)
迷いながら進むと、ちょうど折良く黒いローブの男が一人、廊下に陰のようにただずん出いた。
「ちょうど良かった、そこの貴方、騎士のライズの部屋をごぞんじかしら」
だが近づいて男の顔を見たとき、思わず息をのんでしまう。
その男はあの、ダス・ライヒだったからである。
「何であなたが・・・」
「これは姫様お久しぶりでございます。そういえばまだ名を告げておりませんでしたな。わたくしの名はダス・ライヒ、大魔王グリンデ様の側用人を相務めさせていただいております」

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