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ピピの錬金術士 ビリーのアトリエ
官能リレー小説 - ファンタジー系

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ピピの錬金術士 ビリーのアトリエ 62

「貴様ぁ!!なぜ人の身でありながら鬼共に味方する!?」
兵士の一人がフリッツに言った。
「貴様らこそ!なぜ鬼族というだけで…異教徒というだけで何の罪も無い人々を敵視するんだ!?自分達と異なる信仰は認めないなど…傲慢にも程がある!!」
「黙れ背信者め!!貴様も異教徒と同罪だ!死ねぇ!!」
兵士達は一斉に三人に襲いかかった。
しかし、その時である。
「ギャアァ――ッ!!?」
「な…何だ!?」
「鬼だぁ!!鬼が出たぞぉ!!!」
後ろの方の兵士達が突如として騒ぎ出し、叫び声と血しぶきが上がったのだ。
「あ…あれは…!!」
フリッツが見たのは各々の武器で神聖ジークの兵士達を次々と斬り伏していく鬼の戦士達の姿だった。
「仲間のゲリラ部隊ですわ!!」
「助けに来てくれたんですわ!!」
白兵戦になった時の鬼は強い。
鬼の兵一人は人間の兵10人に匹敵するとも言われている。
しかも今回は完全な不意打ちであり、兵力も少ない神聖ジーク軍は圧倒的に不利だった。
アーロンが死んで指揮を取る者も無いまま、数分もしない内に半数以上が殺され、ついには潰走を始めた。

「無事だったか、フリッツ!!」
「ガルラド!!ゲリラ部隊を率いていたのは君だったんだな!!」
ガルラド…ミネアがローグ伯爵夫人となる前、鬼族の夫との間に産まれた息子にして、処刑されたローグ伯爵家の嫡子アルベルトの異父兄である(…という事はフリッツにとっても遠縁に当たるのだろうか…)。
彼もまた降伏直前に下の砦を抜け出し、上の砦に立て籠もって抵抗を続けていた。
そして砦脱出後、シナイ山中にて仲間を再集結させ、ゲリラ戦を展開していたのであった。
「俺達は別の目的地に向かっていたのだが、ちょうど女子供達がジークの兵隊共に襲われている所に出くわしてな…それがまさかお前達だったとはな…ハッハッハ!!」
「いや、実は僕も彼女達を助けに駆け付けたんだよ。僕達のグループはここから少し離れた所にいるんだ。ビリーも一緒にね」
「何!ビリー殿が!?なぜだ?幹部は全員地下牢に捕らわれたと聞いたが…」
「僕が地下牢から助け出したんだ。ガルラド、君達ゲリラのアジトに案内してくれないか。女子供達全員をそこに連れて行こう」
「いや、残念ながらそれは無理だ」
「なぜだ!?まさかビリーが敗軍の将だからとか言うんじゃないだろうな!?」
「そうではない。我々にはそもそもアジトなど無いのだ。拠点を持つと、そこを攻められれば終わりだからな。常に一所に落ち着かず、山中を移動しながら戦って来た。言うなればこのシナイ山そのものが巨大な砦なのだ」
「そうか…それじゃあ…」
フリッツは腰に手を当てて言った。
「魔王国に亡命を求めるしかありませんわね」
「もうそれしかありませんわね」
喋ってもいないのにアリリアーナとバレッタが言った。
「か…勝手に人の頭の中を読むな!!」

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