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群れなして蠢く美しき屍
官能リレー小説 - ファンタジー系

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群れなして蠢く美しき屍 43

何メートルも車で引きずられているというのに、バンパーをつかむ女の手から力の抜ける気配はない。
それどころか自分こそがヤるんだと言わんばかり、にバンパーをつかむ女に新たな女がしがみついていく。
恐るべき女の執念。
このまましがみついてくる女の数が増えれば、いかな車でもその重量からスピードが落ちる。
そうなれば女たちは圧倒的な兵力で誠を車から引きずり出すことだろう。
こんな執念の塊のような女に捕まったら、冗談でなく命が危ない。
その事実に誠だけでなく、葵たちまでもが真っ青になった。

「先生っ!車を止めて!私たちでアイツら追っ払ってくる!」
「ダメよ、狭山さんっ!今、車を止めたりしたら、それこそ連中の思うつぼよっ!?」
「じゃあ、どうするんですかっ!?このままでもどのみち終わりですよっ!」

美樹の逆ギレ気味の言葉に、弥生は言葉ではなく行動で示すことにした。
アクセルをベタ踏みし、限界までスピードを出す。
そしてあるポイントに向かって一直線に進むと、車内の誠たちに向かって叫んだ。

「揺れるわよっ!?みんな車につかまってーーーッ!!」

キュキキキィッ!!

車が横に振られ、誠たちに強烈なGが襲いかかる。

「うわああぁぁっ!?」
『キャアアァァァッ!?』
『・・・・・・っ!?』

車内は悲鳴の渦。社外にいる女たちにいたっては悲鳴すら上げられなかった。
次々と車からその手が離れ、道路の上を転がったり道路標識や電柱にたたきつけられたりしていく。
そんな中、弥生は懸命にハンドルを回してそのまま右折。
何とか危機をやり過ごし、女たちから逃走した。
普段ならここで誠あたりから、道路に打ち捨てられた女たちの心配をするところだが。
しかしアクション映画並みの逃走劇に、とてもそんなことを言う余裕はなかった。
それにそんな心配などする必要などまったくなかった。
倒れた女たちの身体からみるみるうちに傷が消え、やがて何もなかったかのように立ち上がったのだ。
まともな人間ならば入院、死亡していてもおかしくないケガをしたものもいたはずなのに。
誠はまだハッキリと理解したわけではないが、間違いなくこの世界は何がゆがみ、狂ってきていた。

――――

「まったく!何なんだよ、あれはっ!?」
「お、落ち着いて誠様。あんまり大声を出すとアイツらが来ちゃう・・・」
「わかってるよ、そんなことっ!」

女たちの追跡から逃れた誠たちは、襲われた場所から数キロ離れたところで小休止を取っていた。
車での移動なので本来休憩などいらないのだが。
ここ数日、毎日のように襲ってくる女たちを相手に、誠がすっかりまいってしまったのだ。
たまりにたまったストレスのせいで神経質になり、いつもピリピリしている。
睡眠のほうもあまり取れていないようだ。
このままでは身体によくないと弥生たちも手を尽くしているのだが。
襲ってくる女たちをどうにかしない限り、根本的な解決になりそうもなかった。

「あの・・・誠様?」
「何だよッ!?」

月や白が頭をなでたり身体をこすりつけて必死に慰める中。
年長者の弥生がおずおずと声をかけた。
彼女は誠の剣幕に少々たじろきながらもある提案を持ちかけた。

「あの、当初の目的は私たち以外の生き残りを探すということでしたが・・・。
 おかしくなった連中の襲撃ですっかりまいっているご様子。
 とりあえず今日のところはホテルかどこかでゆっくりなさってはいかがでしょう?
 宿泊施設なら、まだまともな方がいらっしゃる可能性も高いですし・・・」
「宿泊施設、か・・・」

弥生の提案に誠はしばし思案にふける。
誠以外のまともな人間を探すに当たり、宿泊施設というのは捜索の候補として考えていたところの1つだ。
何より世界がおかしくなってからというもの、誠はちゃんとした寝床で横になったことがない。
そろそろ温かくやわらかいベッドが恋しいところだった。

「・・・そうだな。確かに宿泊施設ならセキュリティもしっかりしているだろうし、食料もあるだろう。
 よし。今日は適当なホテルを探してそこに泊まるぞ」
「「「はいっ!」」」×3
「「(コクコク)」」×2

誠の機嫌がちょっと直ったことに5人は安堵しながら、パーティは移動を開始。
近くのビジネスホテルを見つけ、そこで一夜を明かすことにした。
まだ電力の供給は止まっていないらしく、内部は明るい。
しかしロビーは強盗でも入ったかのように荒らされており、ところどころには学校で見たあの肉繭のものと思わしき皮の破片があった。
入口にシャッターが降りていなかったことを考えると、ここに生き残りがいるとは考えにくい状況だった。
しかしここで誠がまた機嫌を損ねられてはたまらない。
誠の下僕と化した5人の女たちはすぐさま行動を開始した。

「誠様っ。私、ここにおかしくなったヤツがいないか調べてくるねっ!」
「葵さん。あなたも狭山さんについていってください。
 何かあったとき、1人だけでは不安ですから」
「あい。わかっ・・・た」

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