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群れなして蠢く美しき屍
官能リレー小説 - ファンタジー系

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群れなして蠢く美しき屍 42

これから彼女らは誠の手駒としていろいろ働いてもらうのだ、(仮)とか名無しとかだといろいろ不便だろう。
誠は嫌なことを考えた気分転換に、3人に名前を付けてやることにした。

(どんな名前がいいかな?どうせなら女の子らしい、かわいい名前を付けてやりたいところだけど・・・)

髪の毛の色からシロとクロという名前が浮かぶが即座に却下。
犬猫じゃあるまいし、そんな安直な名前じゃかわいそうだろう。
せめてもう1つくらいひねった名前のほうがいい。

(シロ・・・白・・・99歳のことを白寿っていうから九十九(つくも)っていうのは?
 ・・・いや、それだと女の子っぽくないな・・・)

考えてみるとこれがなかなか難しい。○○子なんて昔の名前っぽくてセンスがない。
だからと言って沙織とか香なんてありきたりな名前も付けたくない。

「あの・・・ご主人様?いかがなさいましたか?」

誠の心の内が読めない弥生と美樹が恐る恐る尋ねるくらいの時間をかけ。
ようやく名無しの3人の名前が決まった。

「よしっ、決めたぞ。今日からおまえの名前は『白(びゃく)』だ」
「・・・?」

突然自分に妙な呼び方が付けられた白髪改め白は、自分が名前を与えられたことを理解できず、あわてた様子で周囲を見回す。
その周囲では美樹・弥生・宮崎(仮)の3人が誠の意図を理解し、優しい笑みを白に向けていた。

「何、驚いているの。あなた、誠様からお名前を頂戴したんだよ?」
「・・・?ナ、マ、エ?」
「そう。誠様は今まで名前のなかったあなたのために、お名前を考えてくださったのよ」
「・・・!」

ここに至って白はようやく自分が誠が自分のためにしてくれたことを理解し。
喜びと感激で顔を真っ赤にさせて口元を押さえた。
その瞳は感涙で今にも溢れ出しそうだ。
今頃名前をもらったことに喜ぶ白に少々呆れながらも、黒髪と宮崎(仮)にも同じように名前を与える。

「黒髪。おまえは今日から『月(ゆえ)』と呼ぶからな。
 んでそっちは『宮崎(仮)』じゃなく『葵』って呼ぶ。
 あのキモ教師の宮崎とは顔も性別も違うのに、同じ名前じゃかわいそうだからな」
「「・・・・・・っ!?」」

まさか自分たちにも名前がもらえるとは思っていなかったのか、宮崎(仮)改め葵と黒髪改め月は驚いたように誠を見やる。
まさか名前1つでここまで喜んでもらえるとは思っていなかった誠は、恥ずかしさからバツが悪そうに視線をそむけてポリポリと頬をかいた。
ここで終われば話はよかったのだが。居心地悪そうにしている誠にポンと何者かが手を置いた。
誰か考えるまでもない。そこには美樹と弥生が明らかに何かを期待している目で誠を見ている。

「・・・何だよ?」
「いえ、私たちは何というお名前をいただけるのかと思いまして」
「誠様の名前ならどんなのでもOKだよっ。『肉便器』でも『淫乱肉奴隷』でも好きに呼んでっ♪」
「アホかッ!?何で名前のあるおまえらにまで名前考えてやらなきゃならないんだよっ!?
 バカ言ってないでさっさと出発の準備をしろっ!」

誠の返事に、期待に満ち溢れた2人はみるみるうちに不満に満ちた顔へと変貌していく。

「え〜っ?いただけないんですか〜?」
「いくら名前がないからって、あの3人だけっていうのは不公平だと思うのですが」
「どーゆー理屈だっ!?いいからさっさと車に乗れっ!!」

昨夜までは美樹たちに対して敬語を使っていた誠であったが、あの乱交騒ぎでいろいろ吹っ切れたのだろう。
誠は恨めしそうに見ている弥生たちの尻を蹴って車に乗せる。

「おら、おまえらもいつまでも呆けてんじゃねえっ!早くしないとおいてくぞ!?」
「「・・・!」」
「す、すみませ・・・ん!」

誠の怒声に至福のひと時を味わっていた葵たちも急いで乗車。
かくして誠たちの旅はこうして始まりを告げた。
常識もモラルも何もかもがたった1日で崩壊した世界。
いったいこの世界で何が起きたのか?
月たちの出てきた、あの不気味な肉の繭は何なのか?
美樹と弥生に起きたあの発情は何だったのか?
誠の身体に起きている異変とは?
それらの答えを求めて彼らは出発する。
その答えが手に入れられるかどうかは、まだ誰も知らない―――。

――――

「うおおぉぉぉッ!?も、もっとスピード出せ!すぐそこまで迫ってるぞっ!?」
「わ、わかってます!しっかり車にしがみついてくださいね、ご主人様っ!!」

それからおよそ1時間後。
誠たちは1日にして崩壊した世界の洗礼を浴びていた。
大通りを通過中、集まってきた女たちを相手に壮絶な追いかけっこの真っ最中だ。
断っておくが追っている女たちは車やバイクに乗っているわけではない。
素っ裸の徒歩で車を追いかけているのだ。
大勢の見目麗しい美女・美少女達が車を追いかける光景は、もはやちょっとしたホラーだ。
中には四つん這いで追いかけてもいるのだから怖いことこの上ない。
かと言って、人間の形をしているものを車で轢いたり攻撃したりするのもためらわれる。
結果、こうやって逃げるしか手はなかった。
誠のほうはこんなにも相手に気を使っているというのに。
気を使われている側のほうは、そんなこと知ったことかと言わんばかりに間合いを詰めてくる。
そしてついに化け物スプリンターたちの手が、誠の乗った車のバンパーをつかんだ。

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