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おてんば姫、ファニーの冒険
官能リレー小説 - ファンタジー系

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おてんば姫、ファニーの冒険 37

ファニーが王女だと知った時は、二人とも驚いた顔をしたが、ライズの名を聞いた時はさらに驚いたようだった。
「ライズですって、もしやあの魔弾の射手といわれた」
どうやらライズの武名は城の中よりも外で鳴り響いているようだ。
しかし当のライズは自分の二つ名を聞いても特に感銘を受けなかった。
ただ迷惑そうに肩をすくめて苦笑いを浮かべるだけだった。
「俺の事なんてどうでもいいことさ、それよりもボッキ茸について話を聞きたい」
ライズの態度に少しとまどいを感じた二人だったが、すぐに話題をボッキ茸についてに変えた。
(そう言えばティーエも・・・)
ファニーはライズを見てティーエのことを思い出した。
ティーエは魔術師でありながら高い武名を誇っていた。
しかし、ティーエは自分の武勇伝を語ることを極端に嫌がっていた。
さて、肝心のボッキ茸だが、簡単にはいかないようだった。
「お話しはわかりました。しかし、ボッキ茸をお渡しするわけにはいきません」
ジュラーブリクの言葉はファニーの期待に反するモノだった。
「どうして、山頂にならボッキ茸は生えてるんじゃないの」
「確かに生えています、しかし簡単にお渡しするわけにはいきません」
ジュラーブリクが言うには、もし簡単にボッキ茸が簡単に手はいると知られると、山頂へ無断に入る人間が増え、人と熊との間に軋轢が生じる可能性があるのだ。
「そ、そんなことは・・・」
「そんなことは絶対にないと言い切れますか、山のヌシの噂は人を山頂から遠ざけました。しかし、ここであなた方がボッキ茸を手にして山を降りたら、自分もうまくすれば手に入れられると考える者が出てもおかしくありません」
「でも、お父様を救うには、もうボッキ茸に頼るしか方法がないのです。お願いします、どうか茸を分けてください」
ファニーは椅子から立ち上がると、頭が膝に付くぐらいに曲げて頼み込んだ。
目から涙が一粒、二粒とこぼれだした。
生まれたときに母を亡くし、物心つくかつかないかのうちに兄を亡くし、そして婚約者のステファンが行方不明の今、唯一の肉親である父を亡くしたくはなかった。
村長も二人の兄妹もまた、何とかしてあげたいという気持ちにさせた。
ジュラーブリクはファニーの前に膝をついて顔を近づける。
「姫様、顔をお上げください。姫様の気持ちはようくわかりました」
「それじゃ・・・茸をわけてくれるの」
ファニーは期待を込めた目で見る。
「ええ、ですが一つお願いがあります」
「その願いとは何ですか、わたしにできるなた何でもするわ」
「姫様にはわたしの父の呪縛をとくために、父としばらくの間結婚して欲しいのです」

この発言には3人とも驚いた。
「そ・・・」
ファニーが口を開きかけるより早く。
「姫様にそのようなことをしていただくわけには参りません。私が結婚いたしましょう!」
決然とした口調でアンナが割り込んだ。
あわててライズが問う。
「なんだってアンナちゃん。正気かい?」
「私は正気です。姫様はステファン公子とのご結婚を控えられた大切な体。御身に何かあってはなりません。ここは私が!」
「アンナ、私の為にそんな無理はさせられない。私が結婚します。」
ジュラーブリクもラーストチュカも3人を見ながら考え込んでいる。
「私が!」
「いえ私が!姫様は自身を大切になさってください!」
「だからってあなたを犠牲に出来ると思う?」
兄妹の前でファニーとアンナは互いを心配するあまり口論していた。
「アンナは昔から過保護なんだから!」
「姫様がいつも暴走するから!城の皆が心配して、だれかが止めなくちゃいけないから!」
次第に口論が激しくなる。だがそこに。
「ここで口論なさっているところ申し訳ありません。勝手に姫様を結婚相手に指名した私の落ち度でもあります。この場合どちらを相手に選ぶかは父が決めるでしょう。お二人とも山頂まで来てください。」
「え、ええ・・。」
「もちろん山頂へは私も参りますが・・。」
「決まったようだね。早速出発かい?」
「いえ、今日はもう昼過ぎです。今晩は準備に当て、明日出発としましょう。」

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