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おてんば姫、ファニーの冒険
官能リレー小説 - ファンタジー系

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おてんば姫、ファニーの冒険 35


メメール山系某所、魔物たちの城のひとつ。
彼らはここに駐屯することになったとき、いくつもの古代の城砦を発見した。すでに多くの魔物が工事に動員され、古代城砦のいくつかは彼らの技術を盛り込んで修復・改装されて現役バリバリの頑健な拠点となっていた。
ここはもともと主君の間だった場所。現在は魔族様式にてきちんと整えられ、駐屯軍司令部になっていた。
今ここにはマモン、ゴンゾ、邪神官ザラディエら数名がいた。

「残念ながら、今のところ彼は心動かぬようです。」
先ほど「ソレ」の前に姿を見せていた。ダークエルフがいた。マモンの前で片膝をつき、報告した。
そこにゴンゾが言う。
「兄貴、なんなら俺が奴と勝負してこようか?一度敗れれば言うことを聞くんじゃねえか?」
すぐにマモンが返した。強く目線を向けて言う。
「気持ちはわかるがやめておけ。仲間にせよとの命令が出ている。そんな相手に勝負を挑んだと本国に知れてみろ。勝とうが負けようがお前の立場が危うくなるぞ。」
それに、お前でも勝てるかどうかは疑わしい。志願したゴンゾに対し、マモンはその言葉はあえて出さなかった。言うと余計闘志を燃やして抜け駆けを図りかねないところがゴンゾにはあった。
「そうか。すまねぇ、兄貴。」
そこにザラディエが口を挟んだ。
「さすがに彼1頭を殺すにも手間がかかりすぎるのはすでに自明。最新の情報によると奴は絶倫にして多くの子孫がいるとか。この子孫が奴の持つ霊威や力を受け継いでいるとなると、本国の判断は正解かと。奴を倒しては仇討ちに一族が立ち上がり、我々は前門に人間、後門に奴らを抱えて難儀しましょうな。時折精液を飛ばしている様子も観察されており、いっそのこと奴の子種を大量に搾り取って奴の子供を作っては。それに奴の子供は奴に懐いておりましょうから、味方に引き入れるのは奴と同じく難しいでしょう。」
「だがそのようなこと、どうやってやるのだ。捕まえるには奴は強すぎるぞ。」
「傷つけず生け捕ってしまうのでは単に殺すより困難です。奴は熊ばかりか人間、それに魔物の雌すら犯すことがあると聞いております。犯されて生きて帰って来れる物があればよいかと。」
「だが奴と交戦して生きて帰ってきた雌どころか魔物自体がおらんぞ。どうするのだ。」
「はい。ただ誘惑すればよいのです。彼の者と顔をあわせて生きて帰るには戦わぬことが必要かと。よしんば戦いになったとして、常に発情している奴のことです。こちらがただ奴の精のみを目当てにした雌のみであれば、戦うより犯すほうを選ぶのではないかと考えております。」
「回りくどい話だな。育てるのも時間がかかるぞ。」
ザラディエは説明を続ける。
「はい。ですが奴の子を生してはじめからこちらで育ててしまえば手駒として使うことも可能でしょう。何よりグリンデ陛下も先日の演説にて、人間どもは数も多くその支配する領地は広大。いかに我ら魔族が強しといえど無理急ぎは禁物であるとも仰せられました。陛下自身、すでにこの戦いを30年も続けておられるのです。」
ニヤリと笑ってマモンが応じた。
「なるほど。それにそうしておけばいずれ吊られて我がほうに組するかも知れんな。ところでステファンはどうなった?」
やや渋い顔でザラディエが返事した。
「タフトを牽制する人質。丁重に軟禁しております。有能な邪神官の女性を2名宛がっておりますゆえ、彼もこの地にていずれ子を生すかと。」
「ククク。あの男があれほどの魔道師とは思わなかった。奴に払わされた犠牲、奴の子供を働かせてせいぜい取り立てるとしよう。ステファンの天賦の才といい奴の霊威がかった力といい、強力な子を作れそうだからな。」
ステファン公子を捕縛するときには精鋭部隊を送って一挙に拉致しようと狙ったものの、ステファンの魔法と護衛部隊の身を捨てた奮戦によりメメール駐屯軍も大きな犠牲を出していた。そのことを思い出してこの場の全員が渋い顔になった。
ちなみに捕らえた要人や才人に子を生させて人質にしたり教育を施して手駒にするというのはグリンデやその幹部が好んで使う手でもあった。
しばらくしてゴンゾが口を挟む。
「でもよ兄貴、その作戦に使う雌はどうするよ。生半なのじゃ見向きもされないか単に倒されるぜ。」
「それにつきましてはすでにメンバーの選定案を用意してございます。それに」
部屋の端のほうに控えていた一人が選定案を書いた紙をマモンたちに配った。そして配り終えると口を挟んだ。
「若輩ながら、私も参加させていただきます。」
マモンたちにそう言ったのは、今全員に紙を配った邪神官の法服を纏った魔族の女性だった。
「これなるは私の副官を勤めております我が妹、リールにございます。彼女も参加いたします。そして、私も撤退支援の為出撃する所存。そして作戦ですが・・・・」



ファニーたちは獣人の案内を受け、村へと向かっていた。
年嵩の獣人は犬のような耳をぴんと立たせた精悍な男であり、かなり鍛錬していると見て取れた。
周りの獣人は20代だろう。村の若者たちが武装して見回りを行っていると言う風情である。
いったん緊張が解けてみると彼らは友好的だった。そのせいで皆の口が軽くなる。
「さて、獣人の女の子に会うのは初めてだな。どんな娘と会えるやら。」
ライズが気楽な言葉を口走る。

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