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群れなして蠢く美しき屍
官能リレー小説 - ファンタジー系

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群れなして蠢く美しき屍 31

「・・・・・・!」×6

誠たちが最初に思ったのは『なぜここにこんなモノが』という疑問。
次に浮かんだのは『来なければよかった』という後悔だった。

「アハッ♪アハハッ!ア〜〜〜ッ!!」
「じゅぷ・・・ちゅぷ・・・ちゅぱっ」
「ん〜〜〜っ!んおああぁぁッ!?」

そこには男を貪る狂った女たちと、あの忌まわしい肉の塊がそこかしこに転がっていた。
群がる女たちの股間からは半ばミイラ化した腕が垣間見れた。
おそらく女たちから逃げようとして捕まった、男の成れの果てであろう。
性欲に狂った女たちは快楽を求め、捕まえた男を押しつぶさんばかりに群がって貪っている。
中には肉の塊相手に発情してるヤツや女同士で慰めているものまでいる。
そこかしこで展開されるその光景はまさに性の地獄。この世の終わりと言わんばかりであった。
不幸中の幸いだったのは、誠たちが学校で男子生徒が肉の塊になるところ見たおかげで、ショックがそれほど大きくなかったことだ。
そのおかげで運転していた弥生は、そこから離れようといち早く行動することができた。
狂った女たちの何割かは、誠に気づき、襲いかかろうとしたが所詮は人と車。
猛スピードでは走る車に手を出せず、誠たちは何とかそこを乗り切ることができた。
あてもなく逃げる中、美樹が震えた声で誠に聞いてくる。

「ね、ねえ河原クン、もしかして・・・」
「・・・ああ。たぶん今考えてることで間違いないと思う。
 今、町はきっとどこに行ってもあんな感じだよ。頭のおかしくなった女と肉の塊になった男でね・・・」
「「〜〜〜っ!」」

その言葉に白髪と黒髪、宮崎(仮)は心底怯え、近くにいた美樹や誠にしがみついた。
弥生にしがみつかなかったのは、まさに偶然、奇跡の産物だった。
絶望的な状況下の中、誠は思考を張り巡らせた。
死にたくない。生きたい。そんな強い思いだけが彼を突き動かしていた。
幸い、その思いは弥生も同じだった。
彼女は恐怖に震えながらも生きたい一心で、道路にたむろする女たちをかわしながら前へ前へと進んでいく。
誠は考えた。屋上から見た町の様子。今目にしている惨状。
おそらく人のいる場所はどこも同じようなことになっているに違いない。
むしろ人の集まりやすいところほど危険の度合いは高いだろう。
ならば逆に人気の少ない場所に逃げ込めばいい。
問題はここが狭い日本列島で、理想的な逃げ場が少ないということだ。
単純に山の中に逃げ込んでもいいが、それだと車は使えなくなる。
狂った連中の対策手段もなしに逃げるのはあまりにも危険であった。
ならば今するべきことは1つ。安全な逃げ場にたどり着くまでに準備をしておくことだ。
結論に達した誠は弥生に質問した。

「先生っ!ガソリンはあとどれくらいですかっ!?」
「は、半分くらいっ!」
「・・・よし!じゃあ先生、まずは近くのコンビニかホームセンターに逃げ込みましょう!
 そこで武器や食糧を調達するんですっ!」
「ええっ!?で、でも入り口や中に連中がいたら・・・っ!?」
「入ってすぐシャッターを閉めれば連中は入って来れません!
 コンビニならこの時間、いても数人くらいでしょう!?
 いいから早く行ってくださいっ!」
「は、はいっ!?」

誠の語気に押され、弥生の運転する車は一路近くのコンビニへとひた走る。
それはこれから始まる長い逃走のための最初の休憩地点であった。
今の時代、コンビニなんていくらでもある。目的地にはすぐに到着した。
しかも運のいいことに向かい側にはガソリンスタンドもある。
さらに周囲には女たちの姿もないと来ている。
燃料・食糧の補給地点としてはこれ以上ないくらいの好条件だった。
弥生は周囲を警戒しながら、ゆっくりと車をコンビニの入り口付近に停車させた。
エンジンは切らない。何かあったときのための当然の対応だ。

「・・・着いたわよ、河原くん。これからどうするの?」

緊張感たっぷりの声で弥生が次の指示を求める。
無理もあるまい。あんな怖いものを見た後だ。
頭の整理が追いつかず、とりあえず指示を出してくれた人間に従おうという状態になっているのだろう。
他の連中もほとんど同じような状態のようだ。
自分で判断できないというのはよくないことだが、言うことを聞いてくれるだけ誠にはありがたかった。

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