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おてんば姫、ファニーの冒険
官能リレー小説 - ファンタジー系

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おてんば姫、ファニーの冒険 4

3人はモンスターたちにつれられて、温泉の吹き出し口まで行った。
本来ならこんこんと温泉が噴きでてるはずが、今は枯れ果て、地面が露出している。
神官がぶつぶつと呪文をつぶやくと、たちまち温泉が吹き出してきたのだ。
「どうだ、これで信用したか、また止められたくなかったら、早く娘をよこせ」

「わかりました。生贄はだしません」
「そうか、そうか、て、ちょっと待て、どういうつもりだ」
「我が民を、生贄なんかにはさせません」
そう言うや否や、ファニーは隠し持っていた剣を、神官につきだした。
アンナもウォーハンマーを構え、ティーエは杖をふりかざした。
「おのれだましたな」
「だまされる方が、悪いんですよ」
しれっとして答えるティーエ。
「こうなれば力ずくで娘を手に入れてやる」
「そうですよね」
「ここで失敗したらリストラですもんね」
「やかましい、者共かかれ」
戦いは激しかったが、一度実戦を経験したファニー姫には、容易い相手だった。
神官の魔法は確かに脅威だったが、アンナとティーエの方が腕は上だった。
モンスターたちは、ファニー姫たちによって簡単に退治された。
翌日、ファニーたちは温泉につかると、直ぐに旅立った。
モンスターは退治され、温泉も元に戻った。
しかし、ファニーの表情は重苦しいものだった。
それは村人たちの苦悩と現実を知ったからだ。
温泉が再びあふれたときは、村人たちも大いに喜んだ。
しかし、その喜びは長くは続かなかった。
「温泉は元通りになったが、客がこないのは変わらんな」
「昔はフォレントの港を通って世界中から客がきた。しかし、今は近隣の客だけ。これでは商売にならん」
「その近隣の客も、モンスター騒ぎが続けば、こんようになる」
温泉は戻ったが、村人達の苦悩は晴れなかった。
トゥリールの戦い以来、大規模な侵攻はなかったが、五月雨式に襲ってくるモンスター達によって、各地の交通が寸断されるようなっていた。
ファニーは村人達の苦悩を晴らすことができない自分に。憤りを感じた。
ある夜、野宿をしていたとき、ファニーはティーエに魔王グリンデとモンスターについて聞いた。
ティーエはじっと焚き火を見つめていた。
森は暗く静かで、パチパチと薪がはぜる音だけが聞こえた。
そしてようやくティーエは重い口を開いた。
「話の始まりは百年前にさかのぼります。元々グリンデは創造母神ミスラに仕える神官だったそうです。徳を積んだ高僧で、学問や魔術にも秀でたそうです」
「しかし、あるときからグリンデはミスラ以外の異界の神と交信しようとしたそうです」
「何故グリンデが、ミスラ以外の神と交信しようとしたのか、今となっては誰にもわかりません。ですがその異界の神によって、グリンデは魔王と呼ばれる力を身に付けたのです」

「グリンデが異界の神と交信しようとした場所は、プレグナンスの森です。以前は豊富な薬草と聖なる泉があったために聖地と呼ばれました。しかし、今は異界の神が降臨したためか、淫獣たちの住処になっています」

「神と交信し、力をえたグリンデは自分の故郷である北の大国エスカルドへ飛びました。文字通り空を飛んでいきました。そして王宮へ乗り込むと、この地を神の国にすると宣言しました」

「エスカルドの人々は、最初は驚き、次にグリンデの言葉に呆れ嘲笑しましたが、直にグリンデの魔力とモンスター軍団の力に恐怖しました」

「エスカルドの人たちは必死に抵抗しましたが抗せず、最終的には全員が奴隷にされました。それが今から30年前の事です」

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