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おてんば姫、ファニーの冒険
官能リレー小説 - ファンタジー系

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おてんば姫、ファニーの冒険 21

開始の合図とともに剣を引き抜き、シャーリーに切りかかるファニー。
いわば先の先をとることにしたのだ。
ファニーはスピードなら誰にも負けないと自負していたし、シャーリーは重い鉄鎧を装備してる。
先手は打てると思ったが、しかしその目論見は外れた。

キーン
シャーリーはファニーの剣を、がっちりと受け止めた。
「なかなかいい攻撃でござるが、拙者には通用せんでござるよ」
「だったら…っ」
最速の一撃を止められて驚いたファニーだったが、すぐに気持ちを切り換えて、次の攻撃に移った。
「はぁぁっ!」
今度は一撃ではなく連撃。速さを最大に発揮して縦横に剣を振るう。
だが、シャーリーはそれをすべて受け切ってしまった。しかも表情ひとつ変えずに。
「くっ…!」
相手の予想以上の技量に、ファニーは床を蹴って距離を空けた。
ファニーは目を疑った
距離を取ったはずのシャーリーが目の前にいた
「嘘?」
「本当」
シャーリーの口元に微笑みを浮かべても視線はファニーの瞳を射抜いていた
シャーリーの視線から自分の視線が外せないファニー
視界の端、ギリギリに無数の煌めく物が見えた
ファニーは視線を剣を下から突き刺すように遮る
シャーリーの呪縛とも言える視線から解き放たれると、煌めきは剣撃だと気付く
が気付いた時には手遅れだ
体の中心線は下から突き立てた剣で偶然守られたが0それ以外はファニーの露出している服や肌をかすめ、あるいは鎧を抉り、留め具を弾く
「痛ぁ〜!」
「すごいわね、痛いで済ませちゃうなんて」
シャーリーは半身の構えでファニーに対峙する
大振りの剣を片手で油断無く構えている
ファニーは自分の受けたダメージを確認する
肉体に受けたのは大したこと無い
鎧は幾分抉られたが、貫かれてはいない
が、留め具を幾つか壊され鎧としての機能が十分に発揮されない
むしろ邪魔になるだろう
ファニーは鎧を剣を持っていない手でもぎ取る
胸当ては外れたが、背当ては背負った神剣で外せなかった
剣から伝わってきた手の痺れがシャーリーの攻撃の恐ろしさを物語る
「くっ」
痺れを握りつぶすかの様に柄を握り直した
「ハァー、ハァー、ハァー」
荒い息を整えながら考える。
(速さは向こうの方が上。でも、力比べをしても勝てる見込みはないわね)
『ファニー、何を考えておる。妾を使え、そうすれば勝てる』
後ろからミネルバのささやき声が聞こえる。
ミネルバを使えば勝てる可能性が増える。
しかし、ファニーはどうしても自分の力で勝ちたかった。
一人の剣士として、目の前の強敵とぶつかりたかった。
(こうなったら一か八かね)
ファニーは背当てをミネルバごと外した。
次に手っ甲に足当ても脱いだ。
剣以外の装備を外し、剣だけを手にしていた。

そして剣を鞘に収め、柄に手を当てた状態で前屈みの状態になった。

それは居合い斬りの体勢だった。
余分な装備をすべて外し、身を軽くした上ですべてを一撃に賭ける。
かなり分が悪い賭だったが、これ以外に勝てる方策が見つからなかった。
(この一撃で決める)

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