PiPi's World 投稿小説

Editor king
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 1
 3
の最後へ

Editor king 3

和泉国五州では茶道は流行っていない。朝廷の御所がある中央では、茶道や華道が商人衆の間で流行っている。
「のぞきに行ってみようかの」
「お止めになられたほうが賢明かと」
「ほう、なぜじゃ?」
香炉に中毒になる媚薬の香木を焚いていて、手下の忍でも危ういので近づかぬようにしているという。
ましらの重蔵はそれを調合する職人でもあり、自ら用いることで衰えを知らぬ性欲を維持している。
すました顔で宴に呼ばれていた清姫が忍の媚香で、どれほど淫らな痴態をさらしているか、葛浦伴継は気になって仕方がない。
「じきに、清姫はすっかり毒気になじみましょう。今宵、寝所ではべらせることもできましょう」
ましらの重蔵からあずかっていた香木のかけらの入った小さな匂袋を手下の忍から、葛浦伴継は受け取った。
「甘ったるい匂いじゃな」
「すっかりなじんだおなごは、その匂袋を嗅がせれば酔うて我を忘れまする」
薄い長襦袢一枚だけのあられもない姿で、ましらの重蔵に部屋の見張られて、清姫が寝所のふとんの上で黙って座っている。
すっかり仕込まれているが、うらめしそうに怒りの表情でましらの重蔵を睨みつけながら。
ましらの重蔵は清姫が舌を噛みきって自害しないように見張っている。
葛浦伴継が寝所に入ってきたのは、そんな張りつめた空気の中であった。
「そなた、見覚えがある。無礼者め!」
見下ろしている葛浦伴継を見て、清姫が叫んだ。
葛浦伴継は、清姫の顔を見て深いため息をついた。
(五人評議の一人に成り上がっても、姫にさえ名を覚えてもらえておらぬとは)
宴で一人ずつ前に出て姫に臣下の礼を取って、他の家臣たちより格上だと思いこんでいた自分に腹が立ってしかたがない。
「黙れ、小娘」
葛浦伴継がましらの重蔵に目配せをした。
ましらの重蔵が、立ち上がった清姫をすばやく背後から羽交い締めにした。
「なぐさみものにしてくれるわ!」
匂袋を袖口から取り出すと、顔をそむける清姫の鼻先に葛浦伴継はぐいっと押しつけた。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す