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Editor king
官能リレー小説 - ファンタジー系

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Editor king 2

葛浦伴継の「野望」は60で、100であれば天下の覇権を狙って他家としのぎを削るほどの英雄の道もあったのだろうが、「野望」は中途半端であった。
ともつぐ殿の文句講釈は天下一、と仕事で関わる他の家臣たちからはからかわれている始末である。
姫の婚姻の一件ですねた葛浦伴継は和泉家から出奔して、他家に登用してもらおうと考えていた。
「野望」60は自信過剰である。
そんな葛浦伴継に転機が訪れようとしていた。
ある夜、真っ白な濃霧の中で声が聞こえる夢に葛浦伴継はうなされていた。
「あなたの寿命が尽きるときが来ました」
「い、嫌じゃ、わしは死にとうないわ」
葛浦伴継が必死に叫ぶ。
自分の寝言で目をさました瞬間、葛浦伴継の全身に力がみなぎり、十五歳の頃のように痛いほど勃起していた。
ちょうど同じ頃、朝廷の御所の一角で天下太平の祈願の祈祷を命じられていた陰陽師の安倍晴香は、眉を曇らせ割れた神鏡を見つめていた。
(天下争乱のきざしとは……)
その夜のうちに、葛浦伴継は諜報や計略でふだんから使っている子飼いの忍「ましらの重蔵」を屋敷に呼んだ。
「正気でございますか、葛浦殿」
「わしは正気じゃ、もし明日に死ぬやもしれぬ命かと思ったら、悔いを残したくはないからな」
ましらの重蔵とその手下たちが、吉野政弘の屋敷に忍びこみ、吉野御前となった清姫を拉致した。
武将の吉野政弘はその夜、領内巡察のため城に駐在しており、屋敷を留守にしていた。
翌朝、寝所より吉野御前が姿を消したことはすぐに城の和泉豪正の耳に届いた。
「葛浦よ、清姫を探索せよ」
昼過ぎには葛浦伴継は城へ呼ばれて命じられた。
平伏してこれを受け、平然と葛浦伴継は自らの屋敷へ夕方には戻ってきた。
「重蔵はまだなぶっておるのか」
葛浦伴継は重蔵の手下から聞いて苦笑した。
ましら、とは猿のこと。
ましらの重蔵はさかりのついた猿のごとく清姫をなぶり続けているのだった。白髪まじりで若くないはずだが、その性欲はなお老いても衰えを知らず。
葛浦家の屋敷は和泉家に登用されたときに、貿易商が別荘としていたものを購入したものである。茶道の心得のない葛浦伴継だが、はずれには茶室がある。そこで拉致した清姫をなぶらせている。

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