異世界で奇妙な国の貴族になった件 3
この「王国」の人々は王族だろうと平民だろうと、「自分より重い責務を負う上位身分の方々を、性的に癒すのは義務にして名誉なこと」だと物心つかないうちから教え込まれる。
ゆえに、女は上位身分への性欲処理を、男は身近な女がそれをすることを嫌がらない。特に平民は、貴族の精液を飲み中出しされることを光栄に思っている。
「ありがとうマルガさん。本番セックスは……今はいいや」
「……承知しました」
少し残念そうな顔をするマルガに悪いとは思うが、日本の一庶民だったころの意識が「落ち着け」とうるさかったので、ヤルイは性欲処理を切り上げた。
この日は午後から何の予定も入っていなかったので、昼食後は再び城館の中を見て回ることにした。
「ふぅ〜む、なるほどなるほど」
昼前ほど緊張してはいないが、それでも日本の一庶民としての意識がヨーロッパ風の廊下や壁の装飾に興味を示す。
ペコリ
「……ん、ごくろう」
ペコリ
「……やあ、ごくろう」
メイドや下男や衛兵が、すれ違うごとに会釈してくるのが少々気恥ずかしい。
庭に出ると、備え付けてあるベンチに座って本を読む。
しばらく本を読んで知識をつけていると、どういうわけか衛兵の一人が隣に座ってきた。隣と言っても人が二人入れるほどのスペースはあるがかなり近い。
貴族の少年を一人で座らせているのはまずいと思ったのだろうか?
その衛兵はこちらをチラチラ見ながらモジモジとしている。何か緊張しているような雰囲気で顔が赤い。
それならわざわざ隣に座らなければいいのにと思いつつ、読書を続ける。
すると、突如その衛兵は下の装備を脱ぎ始めた。興奮に剥けたペニスが姿を表す。
突然の事に動けなくなってしまう。
だがその下半身を見ているとピンと来るものがあった。
その謎の衛兵は士族の友達のハーヴィーだったのだ。
ハーヴィーは自分と同い年。つまり12歳である。
そんな子供が衛兵になれるのだろうか?そこまでは本に載っていたかどうか…。
少なくとも同い年の衛兵を他に見た記憶は無かった。
ハーヴィーはなぜ衛兵の格好をしてこちらに近づいてきたのだろうか。