幼魔鬼譚〜悪戯好きのアリス〜 133
そして草むらの中では紅夜叉は股間から大量の精液を噴出させながら蠢いていた。
産道の筋肉が緩んで放出を止められないでいた。
(ちくしょう、火俸やってりゃ骨折なんて何度もしてるけど…なんだ?足っていうか下半身に力入んねぇ!?)
今までにないダメージに紅夜叉は自分の状況に進退を決められないでいた。
一方、馬頭鬼と運転手の戦いには、決着が着こうとしていた。
(チッ、どう考えても人間じゃねぇな……)
ボクシングとかではなく、力任せに腕を振りまわしてるだけの様な運転手のパンチは、確実に妖怪である馬頭鬼の身体にダメージを与えて行く。
対して普通の人間なら一発でKOの馬頭鬼のパンチを受けても、運転手は大してダメージを受けた様子がない。
(つぅか、こいつ痛覚ねぇんじゃないのか? 殴られてもボォーっとした顔してやがるし!)
「フンッ!」
運転手が腕を振り上げ、次のパンチを放つ。
(腕力じゃ勝てねぇ……だったら!)
「んん?」
運転手の拳が顔面に当たる寸前、馬頭鬼の姿が運転手の視界から消え去る。
拳を避けた馬頭鬼は、『俊足の馬頭』の名に違わぬ俊敏さで、運転手の背後に回ったのである。
ただ足が速いだけではない。
その自慢の脚力は、攻撃に回せば岩をも砕く凶器となる。
「どりゃぁっ!」
自分を捜す運転手の膝裏を、馬頭鬼が蹴りつける。
「うをっ!?」
「もう一丁!」
たまらず膝を曲げ、前のめりになった運転手の後頭部に今度は踵落としをお見舞いする。
「ガッ!」
本来なら頭蓋骨が砕ける程の威力だが、運転手の頭はそうはならなかった。
だがその衝撃は頭蓋骨の中の脳にも届き、短く呻いて運転手は顔を床に減り込ませ、意識を失うのであった。
「しぶてぇ野郎だったぜ………さぁーてと、次はテメェの番だ」
「ヒィッ!?」
馬頭鬼に睨まれると圭吾は情けない声を出し、後ずさる。
「この馬野郎……滅茶苦茶しやがって……」
と、ちょうど後退した先にいたのは、何とかヨロヨロと立ちあがってきていた紅夜叉であった。
「テメェっ! 動くなっ!」
「んっ?」
「グエッ!?」
人質にしようと、圭吾が背後から左腕で紅夜叉の首を締め上げる。
そして右手に持ったバットの先を紅夜叉の顔に向けるが……