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淫屍の迷宮
官能リレー小説 - ファンタジー系

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淫屍の迷宮 11


「ああ〜〜〜。ばぁう〜〜〜〜っ」
「こ、こらやめろっ。町に行ったら好きなだけヤラせてやるからっ」
「あははっ。ずいぶんとなつかれたみたいじゃないか。そいつのタイプなのかな?」
「よかったじゃねえか?人間じゃないとは言え、美人に好かれるなんて」

戦士Aにキスをねだる美女ゾンビの姿に、仲間たちが冷やかしを入れる。
確かに彼女は美人だ。美人に好かれて気を悪くする男など、そうはいないだろう。
事実、ここにやってくる冒険者の中には美女ゾンビとヤるためだけにやってくるヤツもいる。
しかし彼らの場合は違う。今日と未来の糧を得るため、このダンジョンにやってきている。
捕まえた美女ゾンビは売りさばくための商品。
少しでも高く売りたいのに商品に手を付けるなど、下の下がやること。
だからこそ絡まれている戦士Aは困っているのだった。
そして他人事ばかりに冷やかしている戦士Bと魔法使いに逆襲を仕掛ける。

「ほれ、あっち見てみろ。俺なんかよりアイツらのほうがいい男だぞ〜?
 それにアイツら、ここ最近女抱いてねえから、おまえの大好物をた〜くさん出してくれるんじゃねえか〜?」
「なっ、何言ってんだバカっ!?」
「それっ、アイツらのところに行って来〜いっ!」
「うわっ!?こ、こらやめ・・・!お、おまえ覚えてろよっ!?」

張りつめた空気はどこへやら。お宝を手に入れた冒険者たちはふざけながら帰還するべく出口に向かう。
だがそんな中、1人だけその輪に入らないものがいた。
パーティの紅一点。僧侶だ。彼女は男たちにじゃれる美女ゾンビを真剣な面持ちで眺めていた。
それに気づいた戦士Aが声をかける。

「んん?どうした?そんなムズカシイ顔をして」
「・・・いえ、ちょっと気になることがあって」
「気になることぉ?」
「ええ・・・ちょっといつも通りにいきすぎているんじゃないかって」

僧侶が気にしていたのは入り口にあったあの看板のことだった。
看板にはダンジョンを大改装したとあったのに、これまで変化らしい変化が見られていない。
せいぜい美女ゾンビを見つけるのに苦労したくらいだ。
看板のことを考えると、あまりにもうまく事が運びすぎている。
僧侶はそのことに漠然とした不安を抱いているのだ。
だが戦士Aのほうはそんなことはないとばかりに笑って否定する。

「バ〜カ、そんなん気にしすぎだっつーの。
 だいたい、ここはまだ浅い階層なんだぞ?
 しょっぱなからそんな変わってたらとっくに情報が知れ渡っているって!」
「そう・・・なんですけど」
「まぁあの看板のことはムカつくが、気にばっかしててもしょうがねえ。
 とりあえず今はお宝を手に入れたことを喜ぼうぜ?」
「え、ええ・・・」

戦士Aは明るく言うが、僧侶の不安を晴らすには至らない。
それは女のカンか、はたまた神のお導きか。
どちらにせよ、その不安は見事的中することになる。
変化してないように見えて、実はちゃんと変化があったのだ。
安全策を取る冒険者用に仕掛けられた、悪質極まりないトラップが。
帰り道をふさぐアンデッドたちを木端のごとく倒し、捕まえられていることすら理解せずにひたすら男(時々女)を求めてくる美女ゾンビをあしらいながら、ついにパーティは入り口まで戻ってきた。
ダンジョンから出てしまえば、話は簡単。
奴隷商人に捕まえた美女ゾンビを売り払っておしまいだ。
山分けしても数日は豪遊できる大金を想像し、パーティの面々は妄想に心を膨らませる。
妄想と言っても、うまい酒や食事、温かい寝床くらいのことしか考えられないあたり、なかなか小市民である。
僧侶だけは恵まれない人たちや、教会で育てている孤児たちのことを真剣に考えているようだったが。
しかし入口に戻ってきた彼らは、そこで妙な人だかりを発見した。
ダンジョンがリニューアルしたことを知らない冒険者かと思ったが、そうではない。
中堅パーティと同じく、美女ゾンビを捕まえたらしい冒険者たちが、なぜかダンジョンから出ずにたむろしているのだ。
魔法使いや僧侶と思わしき連中が、ダンジョンの入り口に手をかざし、ぶつぶつつぶやきながら何かをやっている。
「あれは・・・解呪の呪文?入り口に何か魔法のトラップでも仕掛けられていたのか?」
「まさか。入り口にそんなものがあったら、私たちが気づかないはずないじゃないですか」
魔法の素質がある魔法使いと僧侶は、魔法の源である魔力の存在に敏感だ。
その2人が入ってきたときに気づかなかったのだから、何もなかったのではないか?
そう思われたその時。解呪の儀式を終えたらしいパーティが、何やら緊張した面持ちで美女ゾンビを外へと連れ出す。
すると・・・。

フッ・・・。

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