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淫屍の迷宮
官能リレー小説 - ファンタジー系

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淫屍の迷宮 12


「「ええッ!?」」
「消えた!?」

怒るのも当然だろう。

突然美女ゾンビの姿が消え、代わりに1枚の紙切れがひらひらと宙を舞って地面へと落ちた。
それを見たパーティは思いつく限りの怒りと罵倒をぶつける。
苦労して見つけた飯のタネ(美女ゾンビ)がいなくなってしまったのだ。事のすべてを見守っていた中堅者パーティは、あっけにとられ、ゾンビの消えた空間を見続ける。
いったい、何が起こってしまったのか―――?
気になった戦士Aが紙切れを覗くとそこには文字が書かれていた。

『ゾンビを外に持ち出す場合は、地下25階の石碑で持ち出し登録をしてください。
 無許可の持ち出しは強制没収されます』

「何だよこれ!」

苦労して捕獲し、外まで戻って来た冒険者達には、それはまさに悪魔の仕打ちだった。

「くそ、もう一度潜る余裕なんて、うちのチームには無いぞ」
「先に言えよバキャロー!」
「装備は……行けるかもう一度……?」

唐突に追加された、新たなダンジョンのルールに、冒険者達は戸惑い、選択を迫られるのだった。
その日ダンジョンでの犠牲者は、無茶な探索をする者が増えたおかげで、久しぶりに50人を超え、月間目標を余裕でクリアした。


□□□□

「だっはっはっはっはっ!いやー、快調快調。おもしろい具合にひっかかってくれたもんだ!」

ダンジョン最下層。そこで事の成り行きを見ていた俺は、大爆笑していた。
美女ゾンビ生産用の死体に加え、侵入者たちの装備やアイテムを大量にGETできて、もう笑いが止まらない。
何より、おもしろいように同じトラップに引っかかる侵入者たちのあの顔!
ちゃんと看板にいろいろしかけたことも言っておいたのに、まったくバカとしか言いようのない連中である。
まぁそんなバカどものおかげでこっちの懐は潤うのだから、ありがたい話である。
手に入れた装備やアイテムは一部は売り払って今後の資金に、残りは侵入者へのプレゼント(宝箱)として使わせていただこう。
死体のほうはもちろん美女ゾンビとしてリサイクル。
すぐ目の前にいるのに、持ち帰れずに悶える冒険者たちを見て、楽しませてもらうことにしよう。ククク・・・。
ダンジョン始まって以来の盛り上がりに、1人邪悪な笑いをこぼしていると。
ふと1人の侵入者が俺の目にとまった。
装備も貧弱な、見るからに冒険者ビギナーな若い男。
仲間の1人もつれていないとは、勇気だけはあるのか、何も知らないのか。
おそらく後者だろう。
今まで準備万端でやってきた冒険者とは正反対の存在に、俺の好奇心は否応なしに反応した。
さて、こいつはどこまで俺を楽しませてくれるのかな?
あっさり死なないといいのだけど。俺はわくわくしながらおっかなびっくり進む新米冒険者を観察した。

□□□□

CASE2 とある新米冒険者の場合
「ひ、ひええ・・・!?お、女の子が消えたぁ?」

美女ゾンビが消える光景を目の当たりにした少年は、驚きのあまりその場で尻もちをついた。
彼の名前はコーザ。冒険者になったばかりの新米盗賊だ。
貧困にあえぐ農家の家族たちを救うため、自らこのヤクザ稼業に足を踏み入れた。
しかし現実はそう甘いものではない。貧しい農家の出の少年に剣や魔法の素質があるわけもなく。
何とかなれたのが盗賊というありさまだ。当然腕もそんなによくない。
それでも家族のためにと、スライムなどの弱小モンスター相手に一生懸命修行を繰り返し。
やっとの思いで、ここにやってきたのである。
普通、ダンジョンに来るときはパーティを組むのが常識であり、定石である。
なのになぜ彼は1人でやってきたのだろう?命が惜しくないのか?そんなに金を稼ぎたいのか?

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