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なりゆきでアイテム屋の経営者になった話
官能リレー小説 - ファンタジー系

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なりゆきでアイテム屋の経営者になった話 2

ロゼッタは咄嗟にヤバイと悟った。
「う…ううん!私ただのお客!そういう話はあのカウンターにいるお兄さんにして!」
大慌てで関係性を否定し、自分の代わりにカウンターに付いた青年を指差す。
「あぁ!!お…お前ズルいぞ!皆さん!この女こそこの店の人間です!」
青年としても面倒事に巻き込まれてはたまらない。
「はぁ…とりあえずお二人さんの言い分を聞こうか…」
ヴァレリアは溜め息混じりに言った…。

…数分後。
「何だ…じゃあお前も元の店主から店を押し付けられたのか…」
「う…うん。ちょっとの間だけって言われたんだけど…」
ロゼッタは青年とヴァレリアに店主から店を押し付けられた事情を話して聞かせた。
「…でも、だからって俺に押し付けるのは酷くないか!?」
「だからゴメンって言ってるじゃ〜ん」
「事情は分かった…」
ヴァレリアは静かに言った。
「…つまり、あんた達二人が前の店主からこの店を譲り受けたと…」
「いや、ちょっと待ってよ!?」
「どうしてそうなるんだよ!?」
慌てて突っ込む二人をヴァレリアは説き諭した。
「まあ、そちらの事情も配慮して、借金は無利子無担保無期限としようじゃないか。もう貸した金が帰って来さえすれば良いよ」
「そ…それ本当!?」
「それなら完済出来るかも…!」
破格の好条件に思わず身を乗り出すロゼッタと青年。目の前にブラ下げられたエサに、これが背負わなくても良い負債だという事を完全に忘れている。
「どうだい?あんた達二人でこの店の経営、やってみないかい?」
「「はい!!やります!!」」
二人は胸を張って元気良く返事した。

「俺…どうしてあんな事言っちまったんだろう…?」
「…なんかあのヴァレリアって人に上手く乗せられちゃった…」
あの後、ヴァレリアが去り店に残された二人は過ちに気付いて頭を抱えていた。だが今さら後悔しても遅い。
「はぁ…クヨクヨしててもしょうがないわね。そう言えばまだあなたの名前を聞いてなかったわ。私はロゼッタよ」
「ああ、俺はルイってんだ。よろしく頼むぜ。ロゼッタ」
「よろしくね、ルイ。それにしてもいきなり商売だなんて…私どうすれば良いのかサッパリ分かんないわ」
「う〜ん…基本は“安く仕入れて高く売る”だな。俺もそれくらいの知識しか無いぞ」
「…なんかスッゴい不安なんだけど…」
とにもかくにもロゼッタとルイのアイテム屋経営がスタートした。


それから三日…。
「ふえぇ〜ん!こんなの恥ずかしいよぉ〜!」
店の入り口には“close(休み)”の看板。そして店内には何故か肌も露わな際どいビキニアーマーに身を包んで恥ずかしそうにモジモジと身をよじらせるロゼッタの姿があった。
「我慢しろよ。この店で一番防御力の高い女性用防具がそれなんだからさ…」
「でもこれ、ほとんど裸じゃない!」
「命の方が大事だろうが!それに上からマントを着れば見えないよ」

…事情を説明せねばなるまい。さて、心ならずも店を始めた二人だったが、お客がサッパリ来ない。店内は綺麗に掃除し、市場から商品を仕入れて来て棚を埋めた。冒険者向けのアイテムショップとして一通り必要な品は揃えた。接客態度も悪くない。それなのに肝心の客足が伸びない。これは一体どういう事か…?
答えは簡単。もっと人通りの多い表通りに似たような店が何軒もあったからだ。ここは裏通り、こんな所までわざわざ足を伸ばして来る冒険者はいない。
ロゼッタとルイは話し合った末に「だったら他の店には無い特殊なアイテムを売って、他店に差を付けてやろうじゃないか」という結論に達した。
そして二人は自分達自身が冒険者であるという強みを活かし、王都郊外の洞窟の奥深くに眠るという幻のレアアイテムを取りに行く事にした。そこで本来ならば店の商品であるはずの武器と防具を一時的に装備させてもらう事にしたのである…。

「それにしてもロゼッタ…お前、冒険者にしては肉付きすぎじゃねぇか?もう少し体鍛えろよ」
「う…うるさいわねぇ!女の子に体型の事言うなんてサイテー!実は気にしてるんだからね…」
ビキニアーマー姿になったロゼッタの体はデブ…とまではいかないが、俗に言う“ポッチャリ体型”であった。

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