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なりゆきでアイテム屋の経営者になった話
官能リレー小説 - ファンタジー系

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なりゆきでアイテム屋の経営者になった話 1

ここに一人の駆け出しの女冒険者がいた。彼女の名はロゼッタ・スカーレット。年は16歳。淡い栗色の三つ編みお下げ髪の可愛らしい娘である。
下級貴族の三女であるロゼッタは幼い頃に絵本で読んだような心躍る冒険の旅に憧れて家を飛び出した…と言えば聞こえは良いが、実際は親に強制的に見合い結婚させられそうになったので慌てて逃げて来たのであった。

「うわぁ〜!ここが都かぁ〜。大きな建物や人がいっぱいいるなぁ〜」
田舎者丸出しのセリフを吐きながらメインストリートを歩くロゼッタ。
ここは彼女の母国であるウェストニア王国の都ウェストンパレスである。
ロゼッタが物珍しげに辺りを見回しながら歩いていると一軒の店が目に入った。
「あ!アイテムショップ…。ちょうど良かったぁ。薬草が残り少なくなってたんだよねぇ…。ついでに武器や防具も新調しちゃお♪」
実は彼女、家を出る際にちゃっかり金庫からまとまった額の金を持ち出して来たのだ。
ロゼッタはウキウキ気分で店に入った。
(ありゃ…こりゃハズレだわ…)
だが彼女の期待は入った瞬間に打ち砕かれた。店の棚は4割程しか商品が並べられておらず、あまつさえうっすらとホコリすら溜まっている。全体的にしなびた感じの店だった。
「しょうがない、薬草だけ買って行こう…すいませぇ〜ん!誰かいませんかぁ〜!?」
無人のカウンターの奥に向かって叫ぶと、何やらガタガタと音がして店主らしき冴えない中年男が姿を現した。
「やれやれ、こんな時にお客さんか…参ったなぁ…お嬢さん、何が欲しいの?」
「客を前にして『参ったなぁ』は無いでしょ!?…まぁ良いわ。薬草ちょうだい」
「薬草?それなら一把で10ゴールド……いや、待てよ。やっぱりタダで良いよ」
「嘘!?本当に良いの?」
「うん。その代わりお嬢さんに頼みがあるんだが…」
「何?」
「…ちょっとの間だけ店番してて欲しいんだ」
「えぇ!?…いや、やっても良いけど私、商品の値段とか全然わかんないんだけど…」
「ああ、大丈夫だよ。どうせ客とか滅多に来ないし…。もし来たら適当な値段で売っちゃって良いよ。それじゃあ私はこれで…」
男は口早にそう言うと、風呂敷に包んだ荷物を肩に担いでサッサと店を出て行ってしまった。
「あ〜あ、行っちゃった…まぁ、ちょっとの間だけって言ってたし、すぐ戻って来るわよね…」
仕方無くロゼッタはカウンターに座って店番を始めた。

ところが、いくら待っても男が戻って来ない。
ついに西の空が夕日に染まり始めた。
(何よぉ〜!?あのオヤジ全然帰って来ないじゃない!遅いにも程があるわ!)
その時、店の扉に取り付けられた鐘がカランカランと音を立てて誰かが入って来た。
「ごめんよ〜」
「あぁ…やっと帰って来たぁ!」
ロゼッタは男が戻って来たのだと思った。
「はぁ?一体何なんだい?」
だが入って来たのは客と思しき青年だった。歳は20かそこら。冒険者らしく軽装のレザーアーマーを着て背中に剣と盾を背負っている。
「…て、何だお客さんか…。参ったなぁ…」
「客を前にして『参ったなぁ』は無いだろ!?…まぁ良い。薬草をくれ」
「あぁ…はいはい。薬草ね…薬草…薬草と……薬草どこだ?」
「何だ、やる気の無い店員だなぁ…バイトか?」
「う…うっさいわねぇ!…あ!そうだ!お兄さん、薬草タダにしてあげよっか?」
「えぇ!?良いのか?」
「うん!その代わり、お兄さんに頼みがあるんだけどぉ…」
「何だ?」
タダと聞いて上機嫌でロゼッタに尋ねる青年。ロゼッタはニヤリとほくそ笑んで言った。
「…ちょっとの間だけ店番してて欲しいのよねぇ〜」
「えぇ!?…いや、やっても良いけど俺、商品の値段とか全然わかんないぞ…」
「ああ、大丈夫よ。どうせお客さん滅多に来ないし…。もし来たら適当な値段で売っちゃって良いから。それじゃあ私はこれで…」
なんと、店番が面倒臭くなったロゼッタは青年に仕事を押し付けてしまおうと考えたのだった。
彼女は商品棚に置いてあった薬草を2〜3把ほど掴み取ると、店を出ようと入り口へと向かった。
だが、ドアノブに手を掛けようとした瞬間、扉が勢い良く開かれて何者かが店に入って来た。
「ゴルァ!今日こそ耳揃えて借金返してもうぜぇ!」
「…ぶぎゃぁっ!!?」
「何だ?今、豚ツブしたみたいな鳴き声しなかったか?」
入って来たのはチンピラらしき2〜3人の男達だった。
「だ…誰が豚よぉ〜?」
鼻血の滴る鼻を押さえながらヨロヨロと立ち上がるロゼッタ。
「何だ、お嬢ちゃん?鼻血なんか出して…」
「あんた達にやられたのよ!ドア開ける時はちゃんと向こうに相手が居ないか確認しなさいよ!確認!」
「ずいぶんと威勢の良い娘だねぇ…」
男達の後から一人の女が現れた。年の頃は30半ばといった所か、艶やかな黒髪の巻き毛に男のみならず女までもが思わず羨むようなボン・キュ・ボン(死語)のナイスバディ、それを胸元が大きく開いて足元には深いスリットの入ったワインレッドのドレスに包み、更に宝石を散りばめたネックレスやイヤリングで飾り立てた色っぽいセクシー系美女である。
「…あんた誰?」
「私はこの店の主に金を貸してるヴァレリアって者さ。借金の取り立てに来たんだよ。お嬢さん、見かけない顔だが、この店の関係者かい?」

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