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香港国際学園
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園 94

「思いません」
「うむ。きっと残った生徒会の連中が徹底抗戦してくるだろうな。
なぜならこの戦いには、互いの妥協がない。秩序の回復という大義名分があるが、内容はほとんど…」
「殺し合い、ですね」
分かってるじゃないか、と甲良は言う。だが、才英には『だったら何とかしろ。仮にも革命軍のリーダーなんだから』と言う台詞が、甲良の目から読みとれた。
この戦いはもはや目的のない殺し合いになっている。それは解ってる。それを止めなくてはいけないのも。でも自分にはそれは無理なのだ。
何故なら、自分は『革命軍のリーダー』と言う肩書きを持っているが、中身は、この戦いの目的以上に薄っぺらなのだ。
そして勇牙が初めて口を開いた。
立場上、言いたいことは分かっていた。
「いいんじゃないか?このままでも?」
「バカか!それじゃお前等が特をするだけだろが!」その発言に甲良が噛みつく。
この状態のまま公主が倒れれば。革命軍を名乗るチンピラ共が図に乗り、ますますこの学校の秩序が失われる。それだけはあってはならない。甲良はそういう考えを持っていた。
甲良も才英も『主姫の後』が無秩序になるのは避けたいのは一致していた。
「俺が入学した頃・・・この学園は無秩序だった。能力者達はめいめい勝手な事をして、力ある者が絶対の世界だったんだ」
甲良は思い出すように話し始めた。
「俺は楽しかったけどな」
「それはお前が高レベルの能力者だからだ!・・・力無い者は力ある者の奴隷のように扱われ、強姦、殺人はあたりまえだった・・・無論、能力者は隔離され普通科の生徒との交流なんて以前は無かった・・・」
実はこの香港国際学園は香港市街から少し離れた孤島にある。
3つの島からなる学園は広大な敷地を持ち、その一つが超能力科の校舎と寮がある島なのである。
島はそれぞれ距離が無く、橋によって繋がれているのだが、この動乱で橋は閉鎖されていた。
勿論、移動能力のある生徒はいくらでもいるのだが、島の周囲は『結界』と呼ばれるバリアが張られていてやなくクラスでも外に出ることはできないのだ。

「だいたい、俺は学生同士が殺しあうこと自体に違和感を感じているんだ」才英はうろたえながらも口を開いた「もう命の奪い合いをすることだけは避けたいんだ!そのための革命派なんでしょう?」そのためにも誠一たちの勝利が不可欠だ・・・才英は言葉に出す前に口を結んだ・・・嫌な予感がしてならなかった、誠一たちに何かが起こりそうな、そんな予感が・・・
「俺が昔、主姫に味方して学園の秩序を回復する側に回ったのはそのためだ・・・主姫は全ての能力者を瞬く間にに屈服させ学園に秩序を与えた・・・そのお陰で、弱い能力者と言えども怯える事無く学園生活を送ることができ、普通科の生徒とも交流が進むようになった・・・以前の閉鎖的な隔離施設だった超能力科とは様変わりしたんだ」
甲良は一言一言噛み締めるように言った。
「だから今まで主姫が女帝のように振る舞い、学校を私物化するのも目を瞑ってきた・・・俺だけじゃない、ほとんどの生徒もそうだ。混乱より女帝による支配を選んだんだ・・・今だって俺は本当に主姫と戦うのが正解なのか迷ってる・・・」
ここまで事態がこじれるとは思いもしなかっただけに、甲良は甲良の苦悩があるのだ。
これは甲良の読みが甘かったと言うより、この時期に主姫が学園の外に出るのは予想の範疇外だったし、主姫の忠実な番犬だと思っていたロイヤルガードが、忠実故に暴走するとは考えもしなかったのだ。
そのせいで甲良達革命派は生徒達に支持されず、生徒会だけでなく一般の生徒からも狙われるハメとなり、それが爆発的に死者を増やしている理由なのだ。

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