香港国際学園 52
「ん…」
「おう、起きたか鈴木」
目を覚ますと銀城玲子が椅子に座っていた。
「俺は一体…」
覚えているのは主姫に見つめられたところまでだ。
「姫ちゃんの『魔眼』にヤられてたんだぁねぇ、にしても銀ちゃんすごいねぇ『魔眼』を解くなんて」
ベッドのふちに座っているやなくが感心した。
「かかりがまだ浅かったからな」
そう言うと深くため息を吐いた。
「…つまり俺は操られていた、ていうことか」
「そゆ事」
やなくから今までの事を聞き状況を理解した。
「さて…誠一君」
「なんだ」
「君はこれからどうする?」
−生活指導室−
才英は学年主任兼、武器係教師の山岡兵衛と向かいあっていた。テーブルには三挺の銃…『64式小銃』『9mmけん銃』『ニューナンブM60』…が整然と並べられていた。才英に貸与されていたモノだ。
「返納するのは…以上かね?」
山岡の言葉に無言でうなづく才英…生徒会からの圧力による『刀狩り』は彼に限った事ではない。
「…結局残ったのは、これだけか」
手で銃剣を回しながら、廊下をとぼとぼ歩く才英「どうした?才英…」
ふっと音もなく背中に乗っかる悠里。常人なら心霊現象と思いかなりの衝撃だが、あいにく才英はそんなもん信じてないしもう既に慣れていた。
「あ、お前。かなり取られたろ」
「なにを?」
聞き返す悠里。
「いや、武器を・・・」
「私のは『商品』だ・・・それに風紀委員も生徒会も客だからな」
ああ、そうか・・・と納得してしまう才英。大体拳銃からミサイルまで扱ってる悠里がいれば、武器を持ち歩く必要はないのである。
「は?武器だよ、銃火器は全部没収されただろ」「持ってない」
「はぁ?」
「だから…、持ってない…」
ニヤァ〜、そういう表現が似合った顔で言っている……嗚呼、いつかの微笑みはどこへ………と、彼女の服装と能力(知らないけど)で合点がいった。
一応、高校である。いくら何でも、女の子の服を脱がす真似はしないだろう。例え無理やり剥がしたとしても、武器はないのだろう(自分も確認したし)、だから持ってないか…ため息を吐きながら、納得した。