香港国際学園 50
所変わって深夜の校庭・・・
仰向けに大の字に固定された今泉姉妹、流石に夜も更けてくると肌寒くなってきた。
そこに現れた人影。
「よう、生きてるか?」
「あら、遅かったのね勇牙・・・今なら綺麗になったから犯し心地いいかもね」
今泉姉妹の目の前に現れたのは御堂勇牙と凛だったのだ。
「茜、大丈夫かいな?」
「・・・あんまり、大丈夫じゃない」
かつては勝負に負け犯された経験のある凛だが、同じクラスの茜とはその後、気が合い今では親友であった。
その横で無言で勇牙は服を脱ぎ、碧を抱きしめた。
「あっ!・・・」
勇牙の身体から伝わる暖かさ・・・碧は勇牙がわざわざ自分を暖めるために来てくれたのだとようやく気付いた。
凛も少し恥ずかしそうに服を脱ぐ。茜より若干発育のいい身体だが、ナイスバディの多いこの学園、自慢できるレベルでは決して無い。
そして凛も茜に抱きついたのだ。
((暖かい…))
姉妹はそろって考えていた。欲望を満たすためだけの行為とはちがう…人としてのぬくもりを二人は感じた。そして、その考えは移っていき、碧は勇牙、そして茜は何故か才英の事を思っていた。
「…アイツ、何やってるんだろ…」
茜は考えて、はっと気が付き、切り離すように頭を降る。それに気づいた凛が尋ねる。
「どしたん?まださむい?」
「…何でもない…」
そしてその頃。
生徒会では。
生徒会長の公元主姫が、仁科藍と向き合っていた。
藍の後ろには白石兄妹が、主姫の後ろには誠一が、
それぞれ控えていた。
「あなたに、頼みたいことがあるの。」
「何でも仰せになってください、公主様・・・」
恭しく頭を垂れる藍・・・その表情は、白石兄妹が藍に見せる憧憬と崇拝の表情と同じような感じであった。
その崇拝する主人から直接命じられ、恋する初心な娘のようなとろんとした表情になっていたのだ。
ロイヤルガードと呼ばれる生徒会役員は、主姫に対して絶対の忠誠と崇拝をもっている。そのせいで生徒会は主姫の私有物に近い状態になっているのだ。
勿論、生徒会を構成する他の委員会にも、主姫崇拝者はかなりを占める。
愛だの恋だのを信じない主姫と言う両性具有の少女は、己に屈服と服従をしないものは敵だと思っているふしがある。
まぁ、一般生徒や教師にとっても、主姫がいるからこそ学園の秩序が守られている部分もあるので支持者は大多数を占めているので問題ないのだが・・・
この学園の生徒も教師も馬鹿ではない。無力な聖人君子より、有能な暴君のほうがいいと判断しているのだ.
「頼み…?ですか?」
公主の頼み事を断るわけではないが怪訝そうな顔をして呟いた。
「そう、最近この学園を騒がしている奴らがいるらしいじゃない?」
フフッと笑う。
「その奴ら、興味があるわね、藍調べておいて」
「わかりました」
そう言うと部屋を出ていった。
「…そこにいるのでしょう?出てきなさい」
「あはは〜ばれたぁ?さっすが姫ちゃん」
カーテンの後ろからドクロマークのついた黒い毛糸帽子を目深にかぶった長身の青年が現れた。
「なんの用です、私に協力してくれる気でも起きたのですか『奥津城やなく』」