PiPi's World 投稿小説

香港国際学園
官能リレー小説 - 学園物

の最初へ
 47
 49
の最後へ

香港国際学園 49

「…あのさ〜」
不意に中立の才英から声があがる。
「…なんだ」
黒鉄が眼だけをこちらに向け、無表情で聞いてくる、明らかに不機嫌。
プレッシャーに少し押されつつ、提案を出す。
「このままじゃ終わんねぇだろ。こんなのはどうだ?兵器削減を受け入れる代わりに何らかの独立した権限を与えるとか」
「ふむ、なかなかそれは良い意見ですね。真野委員長が気に入るのも理解できます」
尾崎が嬉しそうにうなずく。
才英は誉められてちょっぴり照れていた。
「でも、その意見は置いといて下さい。ついでに、この話も置いといて下さい。そろそろ本題に入りますんで」
「は?」
と才英は声を漏らした。
っていうか、その場の全員が言っていた。風紀委員の人間まで言っていた。
「あはは。どうやら緊張はほぐされたようですね。やっぱり話し合いは和気藹々とやらなければ」
尾崎がからからと笑う。
その隣で孔雀が
「いい加減にこのノリやめましょうよ〜」
と呟いていた。
「じゃあ、はやく本題に入ってくれよ!」
定春が騒いだ。当たり前だが。
「ええと、この組合は学園相手にクーデター起こそうとしている革命派なのですね?」
これは黒鉄に対する質問だ。
「その通りだ」
黒鉄が、さっきと変わらぬ態度で返す。
「僕らもやらせて下さい。クーデター」
「副委員長!意見は順序立てて話さないとダメですよ!」
尾崎が周りを見回すとまたもや「は?」の表情で止まっている奴が多々いた。
しかし尾崎はお構いなしに話し出す。孔雀はこの性質についていけなかった。
「つってもあんまり説明らしいらしい説明は、無いんですがね。ただこの腐った学園に正義の鉄槌を!って感じです」
何かこの人キャラ変わったなー。と思った者は何人居るだろうか。
そして黒鉄という男は動揺を顔に表さないのか、本当に動揺してないのか、さっきと全っ然変わらぬ様子で訪ねた。
「貴公等の委員長真野甲良殿は自分も見知っている。彼は本気で学園の秩序を愛し、混乱を嫌う人間であった。しかし風紀委員全員がそういうわけではないだろう。中には生徒会に媚びるような人間も居るはずだ。彼らと同盟を結んだとして、自分の保身を考えて裏切られでもしたら、こちらはたまったものではないが?」
再び膠着状態・・・実際、反生徒会組織の長、黒鉄にとって『ハイ、そうですか』と信用できるほど甘いものではない。
それに、この尾崎礼光、怪しすぎるのだ。
「やはり、貴様らとは組めん・・・何時背中から刺されるか分かったもんじゃないからな・・・」
「そうですか・・・では、今回は出直してきます・・・」
あっさり引き下がる礼光・・・拍子抜けする才英を尻目に、きびすを返すとさっさと行ってしまった。
「なっ・・・何なんだ、あの人・・・」
「さぁ?・・・」
慌てて礼光に付いていく風紀委員を見ながら、そこにいた全員が同じ疑問を持ったのだった。

SNSでこの小説を紹介

学園物の他のリレー小説

こちらから小説を探す