香港国際学園 192
「生か死か、か。おもしろい。」
刀機は笑う。そして、地を蹴った。
瞬時にやなくモドキの首が飛び、遺された体は倒れて影に沈んでいった。
理人モドキは背を見せた刀機に襲いかかるも、今度はラーニングを発動させた主姫の「加速」で叩きのめされ、こちらも影に沈んだ。
「やっぱり、偽物はこの程度ですわね。本物も私の相手ではありませんけど。」
「本物の方はもっと成長していたがな。どちらにしても、あと、一人。」
刀機と主姫は残った誠一モドキを睨む。心なしか、無表情なはずのモドキの顔がたじろんだ気がした。
主姫は今度は真奈美の「鎌鼬」を使ってモドキを追いつめていく。流石にモドキとは言え、誠一であるので鎌鼬をかわしていく。しかし、その隙に刀機が背後に回り、誠一モドキを一突きに刺した。人間で言えば心臓の辺りであったので、誠一モドキも影と一つになっていった。
「お見事。私の試練はこれにて終了でございます。」
百鬼丸は拍手をしながら二人を見る。
「あとはあの扉に入ってまっすぐに進めば、草薙の間です。楽しい一時をありがとうござました。御武運を・・・・。」
百鬼丸は二人にお辞儀をすると、闇に消えていった。
「もういいだろう。」
刀機は真奈美との合体を解除した。真奈美は合体していたときのことはあまり覚えていない様子で、寝ぼけ眼をこすりながら、立ち上がる。
「行くぞ、真奈美。草薙剣までは、あと少しらしい。」
刀機はそう言うと、扉を開け、奥へと進んでいく。それにまだ完全に目が覚めていない真奈美がフラつきながら続き、最後に主姫が入っていった。
「ここね。」
「らしいな。」
通路を30分ほどひたすらまっすぐに進み、突き当たりの扉に至った。この辺りにもみことの「遊び心」が満載されていた。
草薙剣の部屋の扉の前にはパチ○コ店の新装開店の際によく目にする祝いの花飾りが幾つも飾られていた。
それぞれの飾りの送り主は誠一やら今泉姉妹、やなく、もちろんみこともあった。
しかし・・・・
「全て筆跡が一緒ですわね。」
「みことの仕業だろう。」
真奈美は呆れて物も言えずにいる。
花飾りを無視して刀機は扉を開ける。
古びた扉を開けると…目映いばかりの光が、刀機と主姫を包み込んだ…
二人は目を凝らし、何とか光の主である剣を見つめる…
二人の視線の先では、鎖で封をされ、台座に突き立てられた古びた剣…『草薙剣』がなおも光を発していた…
「手にとっていないのに…力を感じる…コイツがあれば…奴を…アドルフを殺ることができる」
刀機は雌剣草薙剣を非道な笑みを浮かべながら見つめている…