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陣陽学園〜Fight School〜
官能リレー小説 - 学園物

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陣陽学園〜Fight School〜 15

ただし劣等の生徒は入ることはできないが、申請すればクラスが『所有』できる決まりである。

そして、組に入った生徒は校章以外に鉄斎が先ほど言っていた代紋こと『組バッジ』なるものを貰える。

これは組ごとの紋章であり、校章は戦果として取られるが組バッジは殆ど取られない。

それは組バッジを取ること=組に対する宣戦布告であるので、個人同士の戦いでは済まなくなるからだ。

つまり、鉄斎の言っていた『代紋を賭ける』は、まさに組同士抗争を覚悟しろと言っている訳だ。

そして、鉄斎や彦一が所属し純華が総代を務めるのが『山吹組』

決して構成人数の多い組でないが、男女全員が劣等からの這い上がりと言う異色の組だ。

漢字の山の字をアレンジした菱形の組バッジがシンボルである。

出流の制服にも菱形の組バッジがつけたままであるので(本人意思関係なく)純華達は入れる気なのであろう。

叩き上げではない出流の参入に反対する者は今のところいないそうだ。

苦境から立ち直り、初日の昼飯前に校章三つの戦果だけでも充分だろう(道上正樹の分は戦果に含まれずとも評価はされている)。

「ふむ。」

小さく唸る鳳の視界の端、大口径の古式銃を吊革で担いだ黒服の大柄な女生徒が『失礼します』と平手を胸の高さに敬礼姿勢を取っていた。
細かく決めている訳でもないが、鳳が答礼がわりに会釈すると彼女も姿勢を崩す。

黒服以下でも有能ならば、緩やかな差別化を図った上で採用するのが白蘭組の方針、小間使いたる立場の彼女は左右に結った縦ロール髪と豊満な乳房を揺すりながら、一枚のプリント用紙を鳳へ差し出す。

「諜報部から新たな資料です。」
「うむ。」

内容は仮釈達と八霧出流の共闘が珍しいケースである、と評価されていた。

仮釈組は一日の大半を利き腕か利き脚を封印された上、衣食住の面でも学割の利かないリスキーな生活を強いられている故に、基本は個人か少人数で初等科の雑兵狩りを行い復帰を目指す。

助太刀となれば正当な報酬として仮釈組側が全部頂くか、多めに要求して当然、今回の出流の様な要救助者にまで対等な分配を寄越す場面は珍しい。
それほど世知辛くなければ初等科復帰まで身が持たない立場なのだ。

更に注目する点は手負いの出流を含めても三倍の人数差にも関わらず助太刀を申し出た無名の武芸者五名。
三船椿の様な達人で尚且つ精神を病んだ戦鬼という訳でも山吹組や八霧出流の関係者でもない。

精々が初段クラスか喧嘩に不向きなスポーツ武術出身の生徒達が人数差の危険を省みずに助太刀、いや一時的な友軍として共闘を申し出たのである。


しかし鳳の興味を引いたのは、あくまで予測に過ぎないという補足が加えられた資料の後半であった。

出流が『誰か助けて』と叫んだほぼ同じ時刻、学園敷地内において弱小生徒がちょっとした一斉蜂起とばかり、何かしらの行動を起こしたのだという。

付近に徘徊・潜伏していた仮釈組や犬目前の初等科生徒、消極的な生徒百名近くが悲鳴の元に向かったという報告。
そして街娼や神待ちなども含むホームレス同然の犬がネグラを這い出し、手近な教職員を捕まえダメ元で昇格審査を申し出た例が十数件。
逆に今回のバットガールズを通じた召集、普段なら弱者狩りを好む傾向の愚連隊(主に代紋を持たない不良集団)までが露骨なボイコットやサボタージュを行っていた、という情報もあった。

内容はバラバラであり、組織的な陽動作戦といった兆候も見られない。

備考には犬笛効果か指導者向けの持った声紋ではないか、と推論が補足されていた。

「将たる者の才覚…か。」

鳳が独りごちた所へ、うやうやしい小声で『お戯れを』と漏らした先程の黒服、古式銃使い水橋友衛。

「視野を広く持たねば足元を掬われるぞ友衛くん。」

微笑混じりの叱責にたまらず頬を赤らめた水橋友衛、黒服も有能な者はサポート要員として白蘭組への出入りを許されている。
そんな彼女の首にひやりとした何かが巻き付き背中に衝撃、気道の圧迫感、小柄な何者かが水橋友衛に絞首紐を掛け背負い上げているのだ。

掬われる足元は床を離れ、次は首が胴から離れるのではないかという状態。

「調子に乗るな端女風情が。」
「よもや我ら御庭番の仕事を疑うつもりか。」
「それだけならまだしも総代の物言いに口出しするか。」


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