驀進!海賊女子学園ー Pirates of B×G ー 13
それから時間が過ぎて目的地のヒノクニに到着した。
自然に恵まれた良い環境だ。
港に船を停めて降りると一人の軍服女性が立っていた。
「お待ちしておりました。女子海賊学園の生徒海賊会の皆さん、今から主にご紹介します。こちらへ」
「さぁ皆!今から私の夫に会いにいきますよ!」
皆は軍服姿の女性の案内で港から程近いヒノクニ海軍の総司令部へと向かった。
女性はヒノクニ海軍の士官でハルナと名乗った。
ディースと同じ黒い髪に黒い瞳を持つ美人で(ヒノクニの人は皆そうである)海軍顧問サンボルトの事は立派な海軍軍人として尊敬していると語った。
「我が国もいずれはイングス海軍を見習って女性軍人を育成する学校を設立したいと考えています」
それを受けてアーネットも言う。
「それは素晴らしい事だわ。その暁には是非とも我が海賊女子学園と姉妹提携を結び、留学生を交換し合いましょう」
一方、女生徒達はヒノクニの街並みに目を奪われていた。
ヒノクニはほんの十数年前に海外に対して国を開いたばかりで、それまで数百年間に渡って鎖国をしていた。
見るもの全てが珍しい。
道行く人々は半分ほどがイングスの人々と同じ洋服だが、残り半分ほどはヒノクニの伝統的な着物に身を包んでいる。
建物もそうだ。
やがて一行はヒノクニの海軍本部に到着した。
恰幅の良い髭面の軍人が現れた。
「良く来たでごわす。おいどんがヒノクニ海軍の総司令官、ヤマダでごわす」
「よろしくお願いいたします。ヤマダ提督」
ヤマダと握手するアーネット。
リュウはディースに小声で尋ねた。
「変な言葉遣いだね?」
「あの人達はサツマ領の出身ですから…」
「サツマ領?」
ディースの話によると、今から十年前、ヒノクニでは革命戦争が起こった。
もともとヒノクニは皇帝から統治権を委託されたショーグンの政府によって平和の内に治められていたが、十数年前に列国の圧力に屈して開国した。
この弱腰なショーグン政府に激しく反発したのがサツマ領とチョーシュー領であった。
彼らは列国に学んで近代軍を組織し、ショーグン政府を打倒した。