BLUE☆EYES 25
眉間に皺を寄せ、そんな事を考えていると、何やら刺さるような視線を感じた。
じ〜っと、描き文字や効果音が出てきそうな雰囲気で、僕にプレッシャーをかけてくる。
このプレッシャー……凛か!
いや、だから、ふざけてる場合じゃないって!
「ダメ……ですか」
「えっ?」
ポツリと、泣きそうな声で女の子が呟く。
俯いてて分からないけど、きっと泣きそうな顔してるんだな……
と。
「ん……ありがと」
僕は、気が付いたら封筒を受け取ってしまっていた。
微笑みを向けると、顔を上げた女の子はやっぱり泣きそうで、でも何だか嬉しそうだった。
女の子はぺこりと頭を下げ、足早に去って行った。
女の子の勇気を称えるかのように、店内にはまばらに拍手が起こる。
凛……お前もか。
「お姉ちゃん、モッテモテ〜♪」
凛は、このこの、と肘で僕を突っついてくる。
僕は、手に取った封筒を指でパチンと弾き、頬杖をついた。
「どうしよ……コレ……」
はぁ〜、と溜め息。
またいちいち集まる視線……勘弁してよ。
僕に、安息の地はあるのだろうか。
「パフェおかわり!」
凛の声だ。
メイドさんに注文する凛の方に向くと、楽しそうに話している。
僕は凛の耳元に近づき、そっと囁くように言った。
「り、凛。また注文するのかい?」
「うん。だって美味しいんだもん。お姉ちゃんだって物足りなさそうだしね。一緒に
食べよ」
「で、でも…」
「大丈夫だよ、お姉ちゃん。私の奢りだと思って食べてよ」
凛…余計な事をしてくれちゃって。
ううっ、恥ずかしいなぁ。知らない女の子からラブレターはもらうし、店にいる女の子達には
注目されるし、これ以上この店にいるのも……
「ほらほら、お姉ちゃん。これだっていいんだよ」
メニューを見れば、パフェのおかわりには、ケーキも付いてくるようだ。
こ、これはいいかも。
ふぅ。何とかごまかしたよ。
私 ―― 蘇芳 凛 ―― パフェが食べたいなんてウソ。この場を納める口実だったの。
さっきの事で、だいぶお姉ちゃんが動揺していたからね。
本当は、私、お姉ちゃんのパフェを食べている姿をまた見たくなったの。
お姉ちゃんの口元にあるホクロが、とっても色っぽくて素敵だし。
雑誌で見るモデルの女の子よりもお姉ちゃんの方が、断然綺麗だもん。
私より大きな胸。くびれた細いウェスト。引き締まったおしりから伸びる長い脚。
吸い込まれそうな大きな青い瞳に、綺麗な形のピンクの唇。
テーブルをトントン叩く白く細い指先に、私がネイルケアしたピンクの爪。
はあ…うっとりしちゃう。
「凛、なに僕をジロジロみているんだよ。顔に何か付いているの?」
「え!?ううん、な、何でもないよ」