BLUE☆EYES 21
「え……? えっと、何だっけ……」
僕も、一体何があったか覚えていない。夏樹さんとキスした辺りまでは、記憶があるんだけど……
猫目になって呆然とする僕の顔の前を、凛の手が行ったり来たりしている。大丈夫、意識はあるよ……
「で、良い下着見つかったの?」
「あ、いや……」
凛の問い掛けで、ようやく本来の目的を思い出した。そういえば、何一つ決まってないぞ。
「これなんかどうかしら?」
夏樹さんがニコニコしながら、名札の付いたショーツを渡してきた。
僕は受け取ると、目の前で広げる。刺繍が綺麗に編み込まれたショーツに僕は思わず真っ赤になる。
「あらあら。どうしたの?ふふっ…さっきの事を思い出した?」
「ええっ!?あ…そ、その…」
凛がきょとんとしている。うー夏樹さん、その事は……
「な、なんでもないです。あの…そっちの方を…」
この場を何とか誤魔化すが、正直後は大変だった。何しろ初めての事ばかりだったからだ。
ピンクのブラジャーを渡され、他の店員さんの前で装着した時には、恥ずかしくて顔から火が出る勢いだった。
「あ、これ…いい」
レース柄をふんだんに取り入れたブラを着けた時、けっこう僕の胸にフィットしていた。
肩紐の不快感もなく、形のいいおっぱいが持ち上がられ、より美しく見える。
一対のシルクのショーツを履いた時の僕の姿には、凛も思わず頬を赤くしていた。
「いい!!お姉ちゃん、すっごく綺麗だよ」
抱きつかれた時は、ものすごく恥ずかしかったけど……
何とか数点の下着を選ぶと、凛に渡した。会計を済ます間、僕は着替えを始めた。
この時、夏樹さんが僕の側に近づくと、そっと耳元で囁いた。
「さっきはご馳走さま。薫ちゃんの唇、甘くて蕩けるようだったわ。それに、ものすごく可愛いくて…
あたし、ますます好きになっちゃった。ねぇ、今度うちに来ない?もっと気持ちのいいことができるんだけどなぁ」
「け、結構です。僕、そんな事は…」
「あらあら残念。また今度にしようかな。うふふっ」
これ以上したら貞操の危機だよ。確かに先ほどのキスは、僕も興奮した。
夏樹さんのような綺麗な女の人との甘いキス…男の時じゃないのがすごく残念だ。
でもあの後が、はっきりしないのは不安なんだよな…
もしかして夏樹さん…いや、まさかね。