PiPi's World 投稿小説

華が香るとき〜外伝〜
官能リレー小説 - その他

の最初へ
 5
 7
の最後へ

華が香るとき〜外伝〜 7

「あっ、ご免なさい。…ところで何のお話でしたか?」
桜はあちらの世界に旅立っておられたので、話を全く聞いていなかった。
「はぁ、お見受けした所、木之花さんも二十代半ばでしょう。そろそろご結婚を考えられてはと思いまして」
その「社長」は明らかに自分の権利の為に桜に結婚を勧めている。
そう、今真横にいるのが自分の息子であり、息子と木之花を結び付けて木之花財閥を我が物にしたいと思っているのだ。
「社長さん、有難うございます。私、実はもう31歳になりますのよ。しかも洋ちゃんがいますし」
桜は洋ちゃんという言葉を出すだけで母親ではなく、恋人を想う女の顔になる。
「えっ!?木之花さん…もうそんなお年になられるんですか!?
しかも、その洋ちゃんというのは…?」
社長は少し必死な思いで、額に汗をかきながら桜を見る。
社長の頭は恒例の白髪の「ハゲ」で、バーコードも過去の栄光といった状態なのだ。
その汗が見事に熱気を放っており、見るも無惨な僅かな髪の毛かそれとも湯気か判断するのが難しい状況だ。
「えっ!?貴方、洋ちゃんも知らないの!?」
桜は社長の言葉に怒声を上げ、ソファーから立ち上がり睨みつける。
「す、すみません…」
社長の汗は円で滝の様に流れ、一応ハンカチを使っているが、ハンカチもグチョグチョになっている。
「これをよく見なさい!これが私の可愛い洋ちゃんよっ!?」
桜は胸の内ポケットから小さい頃の洋介の写真を出すと、社長の目の前に持っていく。
「あ、あの…この子供が…… 一体どういった…」
言わずとも分かると思うが、天下(無敵)の木之花財閥の総帥が結婚していたという事や、子供がいたという事を知っている者は、島の人間を除くと全世界でも殆んどいない。
グループ内でも知られていない事なのに、たかが取引先の社長如きに何故洋介の事が分かるか。
しかし、社長は対応が悪かった。今みたいな展開であれば、言葉を選びに選び抜いて、これ以上無い位に下手に出なければいけないのに…
「はっ!?もういいわ… 洋ちゃんを知らないなんて…
社長、先程契約した取引は白紙に戻させて頂きます。というより、今後貴方の会社とは一切お付き合いは致しませんので。
私の可愛い可愛い洋ちゃん…ママ想い(勿論桜の妄想)の……
あっ、今何時?大変!後5分しか無いじゃない!?」
桜は一人暴走して社長の会社との取引を勝手に切ってしまう。
社長の会社は大きさは中から大企業の間位の大きさだが、日本では今、最も注目される企業の一つなのだ。

SNSでこの小説を紹介

その他の他のリレー小説

こちらから小説を探す