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華が香るとき〜外伝〜
官能リレー小説 - その他

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華が香るとき〜外伝〜 41

数日後、暇潰し研究会の部室には、どんよりした空気が充満していた。洋介、貝丞、福名の3人とも、机に突っ伏したまま、動こうとしない。
「…………」
「…………」
「…………」
貝丞の机の上には、論文に対する出版社からの返信が置かれていた。そこには赤く、『不採用』の3文字が書かれていた。
「また、負けたな……」
村人を助けて野武士を打ち破ったものの、幾人もの仲間を失った侍のような口調で、貝丞が言う。洋介はただ、小さく頭を動かして頷いただけだった。
(第5話終了)


第六話「Pure Snow」
これは、洋介が中学生のときの話である。
日本のある大会社で、脱税、汚職、談合、他社への不正攻撃、その他諸々、とにかく何でもが露見し、あえなく倒産となった。
数日後、路頭に迷ったその会社の元社長は、尾羽打ち枯らした風体で、人通りのない路地を歩いていた。
「おのれ……なぜわしだけがこんな目に……」
会社の倒産で被害を被ったのは、従業員から取引先から、実に大人数に昇るのだが、彼の頭には自分のことしかないようであった。
「木之花財閥の奴らめ……このまま泣き寝入りしてたまるか。そうだ、あの女社長に隠し子がいることをマスコミに暴露してやる。マスコミは売れるためならどんな捏造でもするからな。あることないこと尾鰭を付けて話せば、きっとスキャンダラスに……」
うわ言のように1人つぶやいていると、後ろから乗用車が疾走して来て、元社長を盛大に跳ね飛ばしていった。
元社長は、一命こそ取りとめたものの、入院した先からダイレクトに警察に逮捕され、マスコミに何もしゃべることができないまま、長い長い刑務所暮らしを送ることになった。ちなみに、轢き逃げをした車は手がかりさえ発見されなかった。

話は戻って、元社長を轢き逃げした乗用車の中では、以下のような会話が交わされていた。
「あれ父さん。今何か当たらなかった?」
「HAHAHA! 気のせいだ。それよりもどうだ洋介、父さんのドライビング・テクニックは!?」
「ただ暴走してるだけじゃん!」
「実にお見事なハンドル捌きですね!」
「貝丞君には分かるか! ようし、もっと張り切るぞ!」
そう言って、ドライバーの男、すなわち我らが中村洋介の父は、アクセルをさらに踏み込む。
彼らが向かうのは、首都圏からやや離れた、とある温泉地であった。
数日前のことである。冬休みを目前に控えた洋介は、オナニーの世界記録に挑んだ。
すなわち、飲まず食わずで連続何時間、何回オナニーができるかの記録に挑み、この地上に覇を唱えようと目論んだのである。ところが、未だ中学生の洋介は、まだ体が十分にできておらず、そのチャレンジには若干早かった。最後の最後で腎虚になり、ぶっ倒れてしまったのである。(継続時間の世界記録は一応抜いたが、公式記録には認定されなかった。)
時を同じくして、貝丞も無謀な挑戦の結果、体を壊していた。

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