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華が香るとき〜外伝〜
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華が香るとき〜外伝〜 37

ドゴッ!
「うわっ! やられた〜」
回転の勢いを乗せた右の踵が、父の額にヒットした。洋介の48の必殺技の一つ、“自慰線上のアリア”である。蹴りと同時に射精すると精神的ダメージも相手に行くのだが、今回は出したばかりということもあり、やらなかった。
「ふう……ごめんね父さん」
着地した洋介は、もんどり打って倒れた父を見降ろし、済まなそうに詫びた。相当に手加減したとは言え、普段の洋介なら父に暴力を振るうことなどまずないのである。やはり、福名の一件が思うようにならず、苛立っているのだと思う。
「父さんは休んでて。メシの支度は、俺がするから」
洋介は氷嚢を用意し、気絶しているらしい父の額に乗せた。そして風呂場で体を洗うと、父の代わりに食事の支度を始めたのである。

「うん、うまいな〜やっぱり父さんは料理の天才だな〜」
「言うのも馬鹿馬鹿しいけど、作ったの俺だから」
洋介の手で食事の支度が整えられたその瞬間、父はガバと跳ね起きて復活した。そして二人で食卓を囲み、今まさに食事の最中である。
「ほほろへほうふへ……」
「食いながらしゃべるなよ……行儀悪いだろ」
「おお済まん。ところで洋介、部活の方は順調なのか?」
「う〜ん。まあ、メンバーは揃ったんだけどね……」
「なんだ。歯切れが悪いな。」
半ば話してもしょうがないと思いつつ、洋介は事のあらましを簡単に説明した。
「よし分かった! そういうことなら父さんに任せておけ!」
「はあ? 父さんに何ができるんだよ?」
「いいからいいから。少し待っていなさい」
(待ってなさいって、イイカゲン王の父さんにどうこうできることじゃないだろ……)
そう思った洋介だったが、口には出さなかった。父が携帯電話を取り出し、どこかに電話をかけ始めたからである。
「ああ私だ。夜分に済まん。実はちょっと頼みたいことが……」
しばらく電話の相手と話していた父だったが、急に電話を手で抑えると、洋介に話しかけてきた。
「洋介。その福名という子はどこに住んでいるんだ?」
「え? 確か……」
洋介は、書類に記入してもらった福名の住所を思い出し、父に伝えた。父はそれを聞き、また電話の相手に何かを話し始める。
「……ありがとう。それじゃよろしく頼む」
しばらくして話が終わったのか、父は電話を切って洋介の方を向き、ニヤリと笑って言った。
「喜べ洋介。うまく行ったぞ」
「え……? 何がだよ?」
「本当なら面接を受けてもらって、どんな人か見ないといけないんだが、洋介が見込んだ男なら間違いないだろう」
「……全然話が見えねえよ……」
「洋介、明日、その福名君に、ここに電話するように言うんだ。時間は朝8時から夜8時までなら、いつでもいい」
そう言うと、父はどこかの電話番号を書いた紙を洋介に渡してきた。
「…………」

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