PiPi's World 投稿小説

華が香るとき〜外伝〜
官能リレー小説 - その他

の最初へ
 28
 30
の最後へ

華が香るとき〜外伝〜 30

その様子を見た不良達は、ようやく自分達の置かれた状況に気付いたらしい。全員顔が青ざめ、引きつっている。
「う、うわあっ!」
「お、覚えてろ!」
彼らは次々と貝丞に背を向け、その場から逃げようと走り出した。貝丞はその後からのんびりとついて行く。
(来た来た)
やがて全力疾走する不良達が、洋介のいる方へと接近してきた。彼らが自分の側を通るときを見計らい、洋介は手にしたロープをグイと引っ張る。浮き上がったロープに足を取られ、不良達は一人残らずその場に転倒した。
「ぐああっ!」
「痛ええっ!」
まずまずかな。痛みにのた打ちまわる男達を見下ろし、洋介は己の仕事振りを冷静に評価する。しばらくすると貝丞が歩いてきて、彼の勲功を称えた。
「お見事洋介。おかげで一人も逃がさないで済んだよ」
「何、大したことじゃないよ」
それから貝丞は、不良達の懐を無理やり漁って生徒手帳を強奪していった。言うまでもなく、全員の名前を押さえるためである。洋介もそれに倣い、二人ほどから手帳をもぎ取った。
「それじゃ明日までにこの建物掃除しといてね。やらなかったら死刑だから」
全員分を回収し終り、貝丞が鬼のような宣告を下す。それを聞いた不良達は、口々に哀願の声を上げ始めた。
「そ、そんな。明日までなんて……」
「勘弁してくれ……」
恐喝していたときの威勢はどこへやらである。彼らに対する侮蔑の念を新たにした洋介は、一人の頭を踏みつぶしつつ、こう問いかけた。
「お前ら、さっきの奴が勘弁してくれって言って許してやったのかよ?」
「「…………」」
不良達が絶句する。洋介と貝丞はそれ以上一言も発することなく、その場を後にした。

翌日の授業後、洋介はまっすぐ旧校舎へと向かった。本来なら放課後は定例オナニーの時間なのだが、貝丞と待ち合わせをしているのでやむを得ない。入り口から中に入ってみると、不良達がコマネズミのように動きながら掃除を行っていた。貝丞はまだ来ていないようだ。
「やあ諸君、授業にも出ないでご苦労だねえ」
そうさせた張本人の片割れが自分であることを棚に上げ、洋介は不良達に向かってごくフレンドリーな口調で話しかけた。
「あっ、でも授業サボるのはいつものことか」
「ぐっ……て、てめえ……」
不良達が一斉に洋介の方を振り向き、その中の一人がうめき声を漏らす。洋介はその男に歩み寄って肩に手をかけ、おもむろに掃除のされ具合をチェックした。
「うーん。何か思ったよりきれいになってないねえ。君、ケンジ君だっけ? あんまり掃除とかしたことないんじゃない?」
「てめえ、あんまり調子に……」
「何?」
「あが……」
男は何やら不満があるようだったが、洋介に首の後ろを掴まれて沈黙した。そうこうするうちに貝丞も到着する。「洋介、遅れて悪い」と謝罪した彼は、手を打ち鳴らして不良達に時間切れを宣言した。

SNSでこの小説を紹介

その他の他のリレー小説

こちらから小説を探す