PiPi's World 投稿小説

華が香るとき〜外伝〜
官能リレー小説 - その他

の最初へ
 26
 28
の最後へ

華が香るとき〜外伝〜 28

等と一々相槌を打っていた貝丞は、最後に一言こう言った。
「いつか会えるといいな、母上に……」
結局洋介も貝丞も、車内で一睡もせずに話し続けた。そして二人は東京の駅で連絡先を交換し、再会を約束して別れたのである。

その後いくつかの騒動を経て、二人は東京都立月倫学園に入学した。洋介は父の転勤に伴って東京に移り、貝丞は洋介と同じ学校に通うために単身引っ越したのである。よんどころない事情で一般生徒より少し遅れて入学した二人だったが、もとより常識的な高校生活を送る気などサラサラない。
彼らは秘密会議と称し、どうしたらより有意義な三年間が送れるか協議した。
「やっぱり部活かなあ……」
「ああ……」
考えに考えた結果は、ごくありきたりな結論だった。では一体どの部活に入るべきか。
「できるだけ自由に、いろんなことができるところがいいな」
「そうだな。それに部室でオナニー出来りゃ言うことない」
そこで洋介と貝丞は手分けし、条件を満たす部活はないかと探し回った。だがそんなものが存在するはずもない。二人の努力は徒労に終わった。
「俺達を入れる部活一つないとは……」
「この学校は腐ってるぜ……」
けれども二人は挫けなかった。ないならば作るまで。まず部室にする部屋を求め、洋介と貝丞は校内を練り歩く。
「駄目か……」
見つからなかった。目ぼしい物件には、すでに何らかの部活が入っていたのである。こうなったら校庭に穴でも掘って地下室を作り、そこを部室にするかという流れになりかかったとき、洋介はあることを思い出した。
「待てよ、あそこはまだ見てないんじゃないか?」
「あそこって?」
「旧校舎だよ」
「ああ、あのボロい建屋か……」
「そうだ。一応見てみないか?」
それは築何十年とも知れない、古びた建物だった。今ではほとんど使われていない。その理由は老朽化しているからというばかりでなく、校内の不良の溜まり場になっているからでもあった。
「よし、そこに行くぞ。善は急げだ」
「おう」
二人は喜び勇んで旧校舎に向かった。入口にたむろする不良を蹴散らして中に入ると、内部は外見以上にオンボロである。
「こりゃひどいな……」
「荒れ寺の方がまだ清潔感あるぞ……」
だが、背に腹は代えられない。まだしも条件のよい部屋を探そうと、彼らは旧校舎の中を移動し始めた。

「まあ、ここにしとくか……」
「ああ。いいんじゃないか」
しばらくの探索の後、洋介と貝丞は一つの部屋を選び出していた。南向きで陽当たりはよく、広さもそこそこにある。だが中には物が散乱しホコリが積もり、このままでは使えないことは明らかだった。というよりこの建物自体、手を入れないとまともに利用できないだろう。
「何とかしないと駄目だな」
「そうだな。どうするかねえ……」
二人は思案しながら、一度旧校舎を出た。何気なく裏手の方に回ってみた彼らは、素晴らしいものに出くわす。
「か、勘弁してください……」

SNSでこの小説を紹介

その他の他のリレー小説

こちらから小説を探す