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華が香るとき〜外伝〜
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華が香るとき〜外伝〜 26

(気合入りすぎじゃないのか?)
洋介はあっけに取られ、そのまま少年の様子をボーッと眺めていた。やがて発表が終わると、少年はノートをパタリと閉じ元の姿勢に戻る。結局洋介はオナニーを再開できないまま、休憩時間を迎えてしまった。
(我がオナニー道、未だ成らずだな……)
「常在オナニー場」を座右の銘とする洋介にとって、中断させられるのは屈辱的と言ってよかった。しかしながら、だからこそさらなる高みに登るため、自分はここに来たのだ。そう思い直し、洋介は席を立つ。そのまま彼はホールの外のトイレへと向かった。
トイレに到着した洋介は、個室に入って鍵をかけた。できればここで改めて一発抜きたいところだが、残念なことに時間の余裕がない。やむなく彼は上着を脱いでズボンと下着を下し、ペ○スにかぶせたコンドームを取り外した。射精したときに臭いが漏れないよう、装着しておいたのである。
(すまん。お前には無駄死にをさせてしまった……)
精液を受け止めることなく捨てられるコンドームに、洋介は内心で謝罪した。
とは言え、ゴム製品をトイレに流すわけにはいかない。洋介はこれまたかねて用意の小さな容器を取り出し、そこに使用済みのコンドームを一時保管した。ちなみに射精していた場合は、中身を捨てて水洗いした後に保管するのである。
(よし、逝くか……)
洋介は服装を整え、気持ちも新たに個室の扉を開き、外に出ようとした。ところがその瞬間、彼は驚いて立ちすくんでしまう。扉の外に先程の少年が立っていて、真っ直ぐこちらを向いていたからだ。
「わっ!」
「先程は失礼しました……」
少年は、会釈をしつつ何やら謝罪してきた。訳が分からない洋介が黙りこんでいると、少年はさらに言葉を続ける。
「お楽しみのところを邪魔してしまい、申し訳ありませんでした」
「あっ……」
洋介ははっとする。どうやら相手は、洋介のオナニーに気付いていたようだ。それに、自分のせいで中断させてしまったということも。
「…………」
二人しかいないトイレが、妙に広く感じられた。まさかばれていたとは。リアクションに窮して沈黙する洋介に向って、少年は意外なことを言い出した。
「相当、激しい修業を積まれたのでしょうね」
「えっ?」
「恥ずかしながら自分は、あなたが行為を止める瞬間まであなたの動きに気が付きませんでした。あそこまで気配を絶って行動を起こすことは、プロの軍人や格闘家でもなかなかできません。あまりの見事さに、失礼とは知りながらつい声をかけてしまった次第で」
「はあ……」
どうやら少年は、洋介がオナニーを止めるときの動作でそれと気付いたらしい。それはともかく、その後も少年は真剣な顔つきでいろいろと言葉を並べ、洋介を褒め称えてくる。さすがに照れ臭くなった洋介は、思わず謙譲の言葉を口にしてしまった。

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