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つながり。
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つながり。 3

あのやり取りからおよそ1か月がたったある日―


「ただいま」
仕事を終えいつものように帰宅する。今日はちょっと残業だった。

「お帰り、友樹!」
「待たせてごめんな、ジェシカ」
「ううん、そんなことないよ」

ジェシカは俺と一緒に暮らすことになった。
この1か月の間で、俺と彼女の間をめぐる事情は、目まぐるしく動いた。


ジェシカは両親に向け、日本に行きたい、と告げたのがあの翌日だったらしい。
それからしばらくジェシカとライブチャットで話すことができなくなった。
まさかジェシカに何かあったのかと思い、その間は仕事に身が入らなかった。

10日ほどしてジェシカの方から反応があった。
モニターを見ると、ジェシカと、ジェシカによく似た女性の姿があった。

その女性は、ジェシカのお母さんだった。
母娘瓜二つと言ってもいい、若々しい方だった。

「初めまして、澤田友樹さん。娘がいつもお世話になってるようで」
「あ、はい………こちらこそ…」

優しい笑顔でモニターの向こうにいるだろう俺に会釈するジェシカのお母さん、ジュリアさん。
ジェシカと同じくらい流ちょうな日本語で喋りだしたので驚いた。

「あ、ビックリしてますね」
「え、ええ………」
「こう見えて私、昔は日本で暮らしていたので」

隣に座るジェシカが、いつになく緊張している。
こんな顔を見るのは初めてだ。
もちろん、それを見ている俺もものすごく緊張していた。

しかしジュリアさんは柔らかな微笑みを浮かべている。
「娘とやり取りをしてる方が日本の方だなんて、縁を感じますね」
「あ、いえ……」
「とても仲がよろしいようですね」
ジュリアさんは俺たちのやり取り、どこまで知っていたのか、この時は不安だった。


「この前、娘が日本に行きたいと言ってきて、突然だったのでびっくりしたんです」
「はぁ…」
そうか。ジェシカ…ついに言ってしまったのか。俺だっていつかはそうなりたい、と思っていたけど…

「なので、友樹さん」
「はい」
「娘を、お願いしますね」
「えっ!?」

間の言葉が耳に入っていなかった。ジュリアさんにいきなりジェシカを託されたのは、夢かと思った。

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