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黒い宴@
【若奥さん 官能小説】

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前編-3

「うむ…では、今夜はたっぷりと奥さんを味わわせてもらおうかのぉ」
それは、宴の始まりとも言うべき一言であった。
「こっちに来るんじゃ」
羽柴は立ち上がり、隣室の襖を開けた。行灯ひとつの薄暗い隣室には夜具が二組敷かれており、これからここで行われることは誰の目にも容易に想像できるものであった。
部屋の中に入った羽柴は、布団の上にドカッと胡坐座りをし、開いた襖の側に怯えた表情で立ち竦んでいる美咲に下碑た好色の笑みを向けた。
「どうした?早速、奥さんの身体を見せてもらおうか。脱ぎなさい」
おそらく想像していた以上の異常さと淫靡さを感じているのだろう。美咲の顔からは血の気が引き、表情を強張らせたまま立ち竦んでいることしかできないといった様子であった。
「ほれっ、どうした。ワシを楽しませてくれるんじゃろう?」
「……」
言葉が出ないのか、何を言ったらいいのか分からないのか、無言のままの美咲。それでも、目の前の男の気分を害することだけは許されないと思ったのか、隣室から漏れる照明の光を遮るように開いたままの襖を閉め、羽柴に背中を向けると、ジャケットを脱ぎ始めた。
美咲は、羞恥に身体を震わせながら、一枚また一枚と服を脱いでいく。それは、ひどく緩慢な動作であったが、羽柴は美咲を急かすことなく、薄暗い部屋の中で目を光らせ、じっくりと、ネットリとその光景を眺めていた。美咲が手足を動かし身体を屈めるたびに、衣擦れの音が羽柴の耳に心地よく響いていた。

下着だけの姿になった美咲は、下を向き、下着を隠すように胸元と股間を手で覆いながら、身体を僅かに羽柴の方へと向けた。怯える牝鹿を追い詰める獣のような羽柴の目が長身、スレンダーで程よい肉つきの美咲の肢体を見上げていた。
「奥さん、ええ身体しておる。今日は楽しみじゃ。ほれっ、どうした、全部脱ぐんじゃ」
「ど、どうか、もう、お許しください……」
美咲は、震える声で答えると、また羽柴に背を向けてしまう。
「奥さん、ワシの言う事を聞けないのか?何しに来たのじゃ?」
美咲の背中に向けられた羽柴の口調は、粘っこく、有無を言わさないものであった。
「ぅっ…ぅっ…」
夫以外の男、しかも初対面の男の前で自ら服を脱ぎ裸体を晒す。今まで経験したことのない羞恥に美咲は小さな嗚咽を漏らしながらも、羽柴の言葉に観念したのか、両手を背中に回すとブラジャーのホックを外し、続いてショーツに手を掛け、ゆっくりと下ろしていった……。



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