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檻の中
【熟女/人妻 官能小説】

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第4章-1

―会員の皆さまへ―
そうタイトルされたメールの内容を少し読み進むうち顔が凍りついて行く。
―このメールは、当サイトSM倶楽部主催のパーティへのご参加申し込みくださった全ての会員の皆さまに送付しております。
……SM倶楽部…?そんなところに参加申し込みを、…したの?どういうこと…?
沙良はさすがに動転し、アカウントページをクリックして今までの登録履歴の詳細を確認した。今朝はそこまでつぶさに読んでいなかったのだ。沙良は読み進むうち、体中の力が抜ける思いがした。確かに沙良の名前でSM倶楽部のパーティに参加申し込みがなされている。しかも前払いになっているその参加費は、沙良の月収が一気に飛んでしまう額だ。
誰が私を陥れてるの?どういうこと…?今朝は驚きと不安だけだったのが、更にこの理不尽な仕儀に怒りと恐怖まで覚えている。一体どうしたらこんなことが可能なのか…。
だが、読み進めていくうちにさらに沙良を追い込むような一文が書かれてあった。
―なお、申し込み後のキャンセルは一切お受け出来ません。参加お申し込み後に不参加になられた方々には当会の会則に従いましてキャンセル料を課させて頂きます。また、クレジット支払いによる参加費の払い戻しにも一切応じかねますのでご了承ください―
あ…。クレジット払い…?アカウントページの“お支払い方法の設定”をクリックすると、沙良の支払い設定もクレジットになっていた。ここまでのことが出来る人…って…。
身内以外には考えられない。
いや、現代ではわからない。あらゆる個人情報が売り買いされている時代なのだ。夫かも知れない。だがそうではない可能性も否定できない。しかもヘタにつつこうものなら、大騒ぎになるような内容だ。
沙良はぐっと奥歯を噛み締めて、さっき届いた案内メールの続きを読み始めた。
―開催日時は6月×日(木)12:00〜16:00(終了予定)―
そこには会場となる住所とそこへの入場の仕方、入場した後に用意された設備、企画、ルール等の詳細が記されていた。
大まかな予定の中に[12:00〜 当会スタープレイヤー、結城真の緊縛ショー]と書かれてある。
[結城真]の画像をクリックすると、顔写真のアップに加え、全身写真、そしてその略歴が記されている。
【結城真(ゆうきまこと) 東京都出身 身長186cm 体重75kg 年齢26歳】
結城真はモデルばりの端正で野生的な容姿、逆三角形の筋肉質の体格、左肩から肘の辺りまでトライバルタトゥーが施されており、それが彼の野性味を更に強調していた。
参加しなければキャンセル料が派生する―。会の性質からして絶対参加させ共犯化させる―。一種の口止め料のようなものなのかも知れない。
…別に行っても何もしなければいいのではないか。仮面も支給されるというし、名乗りさえしなければ単に全裸になって数時間SMショーを見物し、帰ってくるだけで済むのではないか。この主催者と接触できるかも知れず、何か手がかりが掴めるかもしれない。
しかも、このイベントも誰かが勝手に申し込んだのだ。早く手掛かりを掴まなければ際限なく金を搾り取られることも想像に難くなかった。
今更裸を見られたって別に減るもんじゃなし―。キャンセル料なんてこの上とんでもない。
生来さばさばした肝の据わった沙良は、腹を括った。それに倶楽部のイベントはちょうど休診日に当たっている。看護師にも紘一郎にも口実を作る必要もない。とにかく参加してみよう。


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