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Odeurs de la pêche <桃の匂い>
【同性愛♀ 官能小説】

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続編/律子その後-14

 その夜、律子たち3人は、会員制のクラブで呑んでいた。
「鴻作さん。私、宣言する。絵美に恋をしました。お姉ちゃんも祝福してくれたのよ。お骨箱が嬉しそうに鳴ったの」
「嘘つけ」
「ほんとよ。コツコツって。お姉ちゃんとミニョンが、お骨箱の中で何かしてるって思った」
「私も聞いたわよ」
「なんだいお前さんまで」
「お姉ちゃんは今幸せだなんだなあと思ったわ。私がいつまでも泣いていると、お姉ちゃんが幸せになれないってことが、やっと分かった」
「そうかい……信じておこう。それにしても、どうして私の回りはこうなんだろう。これじゃ、少子高齢化が加速するばかりじゃないか」
「鴻作さんが若い女の子を捕まえて、ハーレム作って、子供を沢山作ってください。ウチの子はだめよ、商品ですから」
「じゃあそうするか。絵美を口説こうと思っていたのに、律子に捕られたか」
「私はもう、昔っから律子に恋してましたから、おあいにくさまでした」
「ここの回りの連中、綺麗な女を二人も連れて、あのじいさん大丈夫かな、なんて顔してるぜ。ほら右のヤツ、お前さんたちばっかり見てやがる」
「きょろきょろしない。折角の美人が二人もお相手してるのよ」
「お前さんたちが眩しくて見られないんだよ。ほんとに綺麗だねえ二人とも」
「こんな薄暗い明かりの下で褒められてもねえ。ね、律子」
「何だか暑くなってきたなあ。上着脱ごう、と。ところで、話は違うんだが、律子は、サキさん知ってるだろ?」
「ええ、お姉ちゃんと2・3度お会いしたことある……」
「翔子が死んだことを知ってから、どっとばかりに伏せちゃってね、病院に入れたんだ。私じゃ看護できないしね。もう、年も年だから先も知れてるしね。可哀想でね。それで、悪いんだが……ちょっと見舞ってやって、翔子のことを当たり障りなく言って、冥土の土産に幸せな気分にしてやってくれないか。今、まだ無理かい?」
「ううん、私は大丈夫。絵美がついてるもの。お姉ちゃんが幸せになったことを誰よりも知ってるのは、私。分かった。早速今度の日曜日にでも行ってくる」
「私も付いていくわ。翔子さんと私たちが幸せに暮らしているってことを分からせてあげましょ」
「…………」
「鴻作さん……泣いてるの?」
「律子、そして絵美。良かったね。お父さんはうれしいよ」
「ぎょぎょ。いつからパパになったの?」

 翔子の破綻した家庭を支えてきたサキは、律子と絵美の見舞いを受けて間もなく幸せそうな顔をして亡くなった。
 鴻作と共にささやかな葬儀をしてやり、お骨を翔子の横に並べたその夜、律子の部屋でサキの追悼の時間を持った。
 鴻作を挟んで呑んでいた律子に向かって絵美が言った。
「律子……結婚しよ」
「結婚?」
「そう。律子を縛ってしまいたい……法律作っているやつらは人間を知らない。世の中はとっくに進んでいるのよ。だから、法的婚姻とか家族制度とか、古くさい制度なんかはどうでもいいの。家族的パートナーシップよ」
「なるほど。絵美は独り身だし、律子は、長野にご両親と妹さんがいるけど、戸籍を抜くことを承諾してくれるかどうかだな……これが常識的な結婚だったらなんの問題もないんだが……。お互いに金銭的な問題も起こりようがないんだからな……」


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