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Odeurs de la pêche <桃の匂い>
【同性愛♀ 官能小説】

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第4章 展開-5

「ウム。いる」
「いるって、いま……?」
「うン」
「なぜ結婚なさらないの?……その方と」
「できるもんか。死んじまったもの」
「えッ……だって今いるって仰ったんじゃなくて……?」
「うン。言った。……ここにね」
 おじさまは自分の胸を叩きました。
 私は思わず目頭があつくなり、小夜子を見ると、小夜子ははっきりと頬を濡らしておりました。
「おじさまったら……女を泣かせるのがお上手ね……。お綺麗な方だったんでしょうね」
「翔子ほどじゃないけど、ほっそりとして素敵な女性だった。ちょっと中学生頃の翔子に面影を感じたかなあ。雨月物語の浅茅が宿に宮木という妻の幽霊を見る話があるだろ? 幽霊でもいいから出てきて欲しいと思ったこともあったねえ。ところが今じゃ、時々その顔が思い出せないときがある……」
「…………」
「まあ、結婚していたら、今頃は、皿や茶碗が飛び交っていたりして。ハハハ」
「もう……翔子に似てた、なんてよろこんでいたのに……」
 
 小夜子が<素敵な恋ですね。亡くなった方は幸せね>と言って、私の胸に温かな雫を流しました。そんな話の続きのように、小夜子の質問につられ、母の死と共に、生死も解らないミニョンとの過ぎた日々のこと、ミニョンによってフランス語が自然に身に付いたことなどをいろいろ話すことになりました。そして、私の体に異変が起こったことも、小夜子には正直に話してしまいました。
「ミニョンって方は綺麗でした……?」
「ええ……とっても……」
「愛してらしたのね、お姉さま。お姉さまのフランス語は、その方の影響があったのね。こんなこと言ったら、お姉さま、お嫌かも知れないけど、あたしで……ね、お姉さまの感覚が取り戻せたらうれしいんだけど、あたしでは無理ね」
「そんなことなくてよ。翔子は、サーちゃんが喜んでくれたらそれが翔子の喜びになるの。サーちゃんの優しさは、翔子を安らかにしてくれるのよ」
「うれしい、そんなこと聞いたら、あたし、頑張ってみる」
「頑張るって……何を……?」
「あたし……これから、お姉さまの感覚が取り戻せるように、いろいろ試してみたい……と思ったの」
「サーちゃんたら……可愛い……。いじめてやる」

 小夜子のもの静かなウブさは、時に私の子宮のあたりを締め付けるような可愛さがありました。手のひらで優しく小夜子のソコを被っているだけでも満足していくのです。控えめに喘いで私にしがみつきながら果てていく姿は、ミニョンに抱かれていた頃の私のように思えるのでした。もっとも私は、小夜子のようにおとなしくはなく、激しい反応でミニョンに応えておりましたけれど。
 今の私には、自分から求めてこない小夜子の従順な態度が救いでした。小夜子は、長い長いキスで、お互いの唾液を交換しあっているだけで満足することがあります。そんな長いキスの後、ひっそりとトイレに入り、<こんなになっちゃった>と、照れくさそうに私の前でヒラヒラさせているパンティーは、ぐっしょりと濡れているのでした。私は、小夜子からパンティーを奪い、その蜜を啜ってやると、それだけで私の胸に飛び込んでくる姿はいじらしくて素敵でした。
 小夜子のソコは、まばらで細い縮れ毛が上部にあるだけで、襞のあたりは、まるで少女の唇のように愛らしい形をしておりましたから、私はつい舐めたくなってしまうのですが、小夜子は、直に舐められるより、私のそうした間接的な愛の表現の方を好むようでした。持て余すほどのミクの欲情は、私の欲情が燃焼しないもどかしさがある分、辛く感じるようになっていたのは事実でしたから。
 小夜子は、自分で言ったことを実行するつもりなのでしょうか。私の敏感な部分に唇を当て、いろんなやり方を試しているようでした。時には、自分の唾液を指に垂らして私のヴァギナに入れ、上下左右に何があるのかを探ったりするようになりました。そして、取り出した指を舐め、上を向いて考えるような仕草で味わってみたり、首を振ってはまた差し入れ、匂いを嗅いでみたり、まるで私を実験材料にして真剣に取り組んでいる科学者小夜子の様子に、私は思わず声を上げて笑ってしまいます。笑った後は、その可愛さに我慢ができなくなり、<イヤ……イヤ、まだ実験の途中だから>と言って逃げようとする小夜子の脚を捕まえて、もうタップリ溢れている小夜子の蜜を啜り上げるのが好きでした。
「お姉さまのはいい匂いがするけど、あたしのは……おイヤでしょ……?」
「そんなこと無いわよ」
「するめのお菓子、あるでしょ? この間学校の茶話会で、誰かがさきいかの袋を開けただけで顔が赤くなっちゃった……そんな匂いするときがあるの。お姉さまにそんな匂い嗅がれるのいやだ」 
 なんて、馬鹿正直に言うんです。こちらの方が赤くなっちゃいます。


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