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『あるM女の告白』
【SM 官能小説】

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第2部 SM観の大転換-14

14.甦った家族

ご主人様とお別れして家に帰る途中、私はまずパパとママの顔を、それからプルルンとおばあちゃんの顔を思い浮かべました。

大事件が起こる前に一家団欒をしていたときのように、どの顔もみんなニコニコ笑っていて、
「麗ちゃん、お帰り、どこに行ってたの?」
といっているようです。

「遅くなって、ごめんなさい。すっごく悲しいことがあったので、辛くて逃げ出してしまっていたの。
でも、もう大丈夫。パパとママが愛の命綱で守ってくれたことを、すごく親切な人が教えてくださったおかげで、私、パパもママもおばあちゃんもプルルンも、みーんな私の心にとりもどすことができたの。
私の心の中に、元通りの家族が甦ったの。
だから、これからは、私が生きている限り、ずーーっと元通りの家族でいられるんだよ」

一人だけ元通りじゃなく,高校生になっている私が、ニコニコ顔でそういっています。
そんな情景を頭の中に思い浮かべていると、すごく幸せな気持ちになりました。
そんな気持になれたのは、大事件の前以来のような気がしました。

どうも私は、大事件以来、心の半分が抜け殻になっていたようです。
大事な大事なその心のもう半分が、今日私のところに帰ってきたように思えました。
多分私は、心の半分が抜け殻になっていることを見抜かれるのが怖くて、心にバリアを張って誰も近寄れないようにしていたのでしょう。

でも、ご主人様はいともたやすくそのことを見抜かれて、見失っていた心のもう半分を目の前に見せてくださいました。
だから、私はそれを取り戻すことができたのです。

それを考えると、ご主人様のお顔が浮かんできました。
私の心は、感謝でいっぱいになります。
同時に、すごい人だなという、驚嘆と尊敬の気持ちが湧きあがってきます。
そして、もうひとつ、今まで誰にももったことがない不思議な気持が、芽生えてきていました。
この時点では、まだそれに気がついていませんでしたが・・・。

ご主人様のお顔を思い浮かべると、甦った家族のときと同じように、幸せな気
持ちになれました。
家に帰り着いて、夕食をとり後片づけを手伝い終えると、私は早々に自分の部屋に行きパソコンを開いて、ご主人様からのメールを待ちました。

ご主人様と喫茶店で過ごした時間はあっという間に過ぎてしまったのに、メールを待つ時間はすごく長く感じました。
でも、やっと9時になり、2分ほど経つと、パソコンにメールが着信しまし
た。
ご主人様からのメールでした。




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