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『あるM女の告白』
【SM 官能小説】

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第1部 ご主人様との出会い -17

15.免罪符喪失

高1の学年末、後期の成績発表があり、なんとかトップを維持することができましたが、私はかなり危機感を抱くようになりました。
親友の美月さんが、最近家庭教師をつけて苦手科目の克服を図ってがんばり、その成果が出て成績がぐんと伸び、私と僅差での学年2位になって迫ってきたのです。
そこで私は、高2になるともううかうかしてはいられないと、オナニーは月1回に減らし、読書の時間も削って、勉強時間を大幅に増やしました。
しかし、がんばりすぎたせいか、夏休み前に右手が腱鞘炎になり、痛くて字を書くことができなくなってしまいました。
仕方がないので左手を代わりに使っていたのですが、治療のための通院もあるので、夏休み中の学習は進行が大幅に遅れてしまい、私はあせりました。
痛みが大分とれた夏休み明けから、必死にがんばって少しは盛り返しはしたのですが、私は大きな不安を抱いたまま9月末に、前期の成績発表の日を迎えました。
発表がありました。
なんと私は、学年5位に落ちていました。
私は、しばらく茫然としていました。

「麗、大丈夫?」
私にとってかわり、初めて学年トップになった美月さんが、声をかけてきました。
「はい、大丈夫です。美月さん、トップおめでとうございます」
私は、にっこりして答えました。
「ううん、まだまだ、実力は麗の方が上だよ。だから、ずーっと目標にしてきたんだぁ。ねっ、後期は絶対、2人でまたワンツーフィニッシュしようよ!だから、麗、落ち込んだりしちゃいやだよ」
美月さんは、両手で私の左手を握って、いいました。
「はい、もちろん・・・。でも、トップはまた私でいいですか?」
私は、ニコッとして、美月さんを見上げました。
「うん、もちろん、いいよ。いいともぉ!よかったあ!さすがに麗は、大物だね。安心したよ。じゃあね」
美月さんはにっこりしてそういうと、手を振りながら、教室を去って行きました。
家に帰ってから夕食後、両親に成績表を見せ、「5位に落ちました。ごめんなさい」と頭を下げました。
「腱鞘炎になったりしてたから、少しぐらい落ちたってしょうがないよ。むしろ、あれだけ手が痛かったのに、よくがんばったと思うよ。トップになんかならなくてもいいから、がんばりすぎてあちこち痛めないようにしてほしいな」
「そうよ、怠けたりした訳じゃないんだから、落ちたことを気にすることなんかないわ。取り返そうとがんばり過ぎないでね。そっちの方を、よっぽど心配してしてるのよ」
美月さんもそうでしたが、両親も私が落ち込むんじゃないかとすごく心配して、気を使ってくれているのがよくわかりました。
「はい、大丈夫です」
私は、明るくそういって、私の部屋に戻りました。

精一杯、そんなそぶりを見せないようにしていましたけど・・・、
大丈夫なんかじゃありません。
悪い子である私を隠すイイ子の仮面になってくれていた免罪符を、私は失ってしまったのです。
1人になると、悲しみがどっとあふれてきます。
泣いても、泣いても、悲しみは増すばかりです。
     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そして、ついに私は
「パパ!ママ!・・・プルルン!どこにいるの?」
と、大事件の日以来ずっと封印してきたパンドラの箱を、開ける言葉をもらしてしまったのです。




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