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愛しのお菊ちゃん
【ホラー 官能小説】

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愛しのお菊ちゃん14-5

貞ちゃんも僕の胸に顔を埋め。
いつしか子供のように泣きじゃくっている。

「いいんだよ…貞ちゃん…いっぱい泣いて忘れちゃいな…」
貞ちゃんの身体を抱きしめ頭を優しく撫でる僕。

少しづつ薄くなってゆく貞ちゃんの姿。
そして…スゥッと消えた。

次の瞬間…パッと灯かりが元通りになって…。
貞ちゃん…ちゃんと成仏できたのかなぁ。
明るくなっても僕はまだ同情や悲しみ、貞ちゃんに対する思いを引きずっていた。


貞ちゃんが無事に成仏したのどうか心配で晴れがましい気分になれない僕。

「ただいま戻りました」
そんな僕の元にお菊ちゃんが帰ってきた。

そうだ…お菊ちゃんにちゃんと話さなきゃ。
「お菊ちゃん…ちょっといい?」
リビングの端でニコニコと笑うお菊ちゃんを連れて自分の部屋にはると。

ベットに並んで腰掛けると。
「あのね…お菊ちゃん…」
僕は鵬蓮さんか聞いた事やこれから僕の決意、もちろん鵬蓮さんとの事だって。
包み隠さずお菊ちゃんに話した。

「俊樹さま…」
下唇を噛み締めたお菊ちゃん。
ちょっとタレ目な大きな瞳がウルウルしてる。
やっぱ…鵬蓮さんとの事、怒ってんのかなぁ。

「お菊ちゃん…ごめん」
シュンとする僕。

「いえ…菊の方こそ…知らぬ事とは言え、俊樹さまの御身を危険に晒していたとは…」
お菊ちゃんの瞳から涙がポロッと零れて落ちた。

「それは…大丈夫だし…自分で選んだ事だから泣かないで」
お菊ちゃんの両肩をガシッと掴む僕。

「いえ…これは…嬉し涙でございます、俊樹さまがかようなまでに菊を思って下さっていて」
ポロポロと止まらないお菊ちゃんの涙。

「あたりまえだよ…でも…その為とは言え…他の幽霊さんとも…」
笑えたのは一瞬、直ぐに真顔になる僕。

けど…。
「誇りに思いますよ」
今度はお菊ちゃんが笑いながら僕の言葉を遮る。
聡明なお菊ちゃんは僕の言わんとしている事を全部聞かなくても判ったみたい。


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