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愛しのお菊ちゃん
【ホラー 官能小説】

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愛しのお菊ちゃん11-5

「さぁ…乗って頂戴」

わっ!真っ赤なポルシェ!
お寺って儲かるのかなぁ。
なんて…さっきの勢いはドコへやら。
待て!待て!
情けないぞ…僕!
ポルシェ一台でピヨピヨになってる場合じゃない。

「お邪魔します!」
僕は気合いを入れ直すとクルマに乗り込み。
ドボムッ!!――。
ドアを閉めて…。

ブゥオォォン!!――。
真っ赤なポルシェは走りだした。


街から少し山の方に入った。
結構な面積の水田の中を走る道路、かつては畦道だったのだろうが…。
今は舗装された道路、道幅はやっぱり狭い。
そんな一直線の道路を走り抜け。
小山と言うか…森と言うか。
こんもり木々が覆い繁った手前で真っ赤なポルシェは止まった。
降りると下は砂利と泥。
舗装はされていないがお寺の駐車場の様だった。

「こっちよ…」
鵬蓮さんについて、その駐車場から続く細い石段を登る僕。
その細い道の脇には山ツツジは判るけど…。
あとはよく判らない腰高の植物が覆い繁ってる。
そんないかにもって感じの山道を数分上って。
いかにもって感じの古ぼけた裏門もくぐると。
これまた、いかにもって感じの古いお寺が立ち木の陰から現れた。

「こ…ここは何て…」
どうでもいいと言えばいい事であったが。
何を聞いていいのか判らない僕の口から出たのはそんな言葉だった。

「愛善院よ…」
振り返った鵬蓮さんがちょっとゾクッとする様な小さな笑みを浮かべた。


つづく


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