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一枚の写真
【初恋 恋愛小説】

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ヒロ兄ちゃんとユキ姉ちゃん-7

食事が終わった後、ヒロ兄ちゃんは横になった。暖かい春の日差しに照らされていつの間にかヒロ兄ちゃんは眠っていた。
「ヒロ兄ちゃん眠っちゃったね!」
ユキ姉ちゃんは上着をヒロ兄ちゃんにかけて、
「パパって呼ぶんじゃなかったの?」
「ヒロ兄ちゃんが起きたらまた....」
笑顔で答えた。ヒロ兄ちゃんは気持ち良さそうに眠っていた。私はヒロ兄ちゃんの寝顔を見ていた。
「ヒロは疲れているんだから、起こさないであげてね!」
「えっ?」
私が顔を上げると、
「ヒロは一日中働いているから....」
「ユキ姉ちゃんも....」
「私は忙しい時だけ....途中で休憩時間も貰っているし....でもヒロは一日通して働いているから....」
ユキ姉ちゃんは少し心配そうに言った。
「どうしてヒロ兄ちゃんはそんなに働いてるの?」
「ヒロにはお父さんもお母さんも居ないので、生活費を全て自分で出しているの。だから、朝の仕込みからずっと休憩時間もほとんど取らず働いているの。」
「生活費?」
「電気代とか水道代とか食事代とか生きていく為に必要なお金の事よ。」
「ふうん。ヒロ兄ちゃんは一人で頑張っているんだ....」
「そうよ。お姉さんが一人いるんだけど、負担をかけたくないって....だからそっとしておいてあげてね。」
「うん。わかった。」
私はしばらくヒロ兄ちゃんの顔を見ていた。
「ユキ姉ちゃん聞いてもいい?」
私はユキ姉ちゃんのほうに振り返って言った。
「なぁに?」
「あ、あのね....」
私が躊躇っていると、
「どうしたの?」
ユキ姉ちゃんは優しく話しかけてくれた。
「ユキ姉ちゃんは、ヒロ兄ちゃんのどこか好きなの?」
「えっ?」
ユキ姉ちゃんは驚いていた。
「どこ?」
「そうね....」
ユキ姉ちゃんは黙って考え込んだ。
「ネェ教えて!!」
「いっぱいあるわよ!!」
ユキ姉ちゃんはそう言って笑った。
「それでもいいから!」
ユキ姉ちゃんは照れくさそうに話し始めた。
「少し長めの髪の毛、鼻の形、笑うと見える白い歯、握ると暖かい手、安心出来る声、失敗作の料理でも美味しいって食べてくれる所、責任感の強い所、いつも周りを気にかけ自分よりも他人を思いやる所、少しぐらいの我が儘なら笑って許してくれる所、いっぱいあるけどやっぱり一番は....」
「一番は?」
「一緒にいて楽しくてラクな所!」
「ラクな所って?」
「自分を飾らないでいられる所。ありのままの私でいられる所。我が儘言うと少し困った顔をする時もあるけど私の事を嫌いにならないで好きでいてくれる所。本当いうとね、私我が儘ばかり言っているから、嫌われるんじゃないかと不安になる時もあるの.....」
そう言って笑った。
「それなら我が儘言うの少し控えたら?」
「えっ?」
私達が振り返るとヒロ兄ちゃんがこっちを見ていた。ユキ姉ちゃんは真っ赤になって、
「いつから....聞いていたの?」
恥ずかしそうに聞いた。
「ヒロ兄ちゃんのどこが好きなの?って所からかな!」
「じゃぁ全部聞いていたんだ....」
「ハイ、全部聞かせていただきました。」
そう言って嬉しそうに笑った。
「ネェパパはママのどこが好きなの?」
私はヒロ兄ちゃんが起きたので、呼び方をパパに戻した。それから、座り直したヒロ兄ちゃんの膝の上に座った。
「私も聞きたいな!」
ユキ姉ちゃんはヒロ兄ちゃんの隣に座った。


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